氏を改めた者が以前の氏に復すること。復氏すれば、原則としてもとの戸籍に戻る(復籍)。例外として、もとの戸籍がすでに除かれている場合および復氏する者が新戸籍編製の申し出をした場合には新戸籍が編製される(戸籍法19条)。民法は次の四つの場合に復氏を認めている。
(1)配偶者の死亡によって婚姻が解消した場合(民法751条1項) 残存配偶者は、当然に復氏するわけでなく、復氏するかどうかを自由に決めることができる。復氏するときには、戸籍吏(市区町村役場)へ復氏届を出さなければならない(戸籍法95条)。
(2)離婚の場合(民法767条・771条) 復氏を原則とする。しかし、離婚後3か月以内に届け出れば、離婚後も引き続き婚姻中の氏を称することができる(民法767条2項)。
(3)離縁の場合(民法816条) 復氏が原則だが、縁組が7年以上続いた場合には養親の氏の継続も可能なように1987年(昭和62)9月法改正された。
(4)子の氏の変更による復氏(同法791条4項) 父または母と氏が違う子(未成年の子)がその父または母の氏に氏を改めたときには、子は成年に達したときから1年以内にもとの氏に復することができる。この場合に、子は、自分の意思で復氏することができるが、届け出が必要である(戸籍法99条)。
[高橋康之・野澤正充]
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(吉岡寛 弁護士 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…超世代的に家名を男系血統で継承する制度をもつ国は少数派といえよう。 日本では夫婦同氏(同姓)の強制のもとで,およそ98%の妻は年齢・職業のいかんにかかわらず結婚改姓を余儀なくされ,さらに離婚時には復氏(旧姓)を原則とされるなど(1976年の〈婚氏続称〉新設前は復氏の強制),氏(姓)をめぐる法制度は,いまなお男系血統の〈家〉制度的発想を投影しており,ときに子どもや女性の生命体としての基本的存在を脅かすものとなっている。 1996年2月,法制審議会での5年にわたる審議経過を経て,〈夫婦別姓〉選択制を含む〈民法の一部を改正する法律案要綱〉が法務大臣に答申された。…
※「復氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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