徴兵忌避(読み)チョウヘイキヒ

デジタル大辞泉 「徴兵忌避」の意味・読み・例文・類語

ちょうへい‐きひ【徴兵忌避】

徴兵適齢者が、徴兵をまぬがれるために、故意身体を傷つけたり、病気になったり、逃亡したりすること。兵役忌避

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精選版 日本国語大辞典 「徴兵忌避」の意味・読み・例文・類語

ちょうへい‐きひ【徴兵忌避】

  1. 〘 名詞 〙 徴兵適齢者が、徴兵を免れるため、故意に身体に傷つけ、疾病を作為し、また、逃亡・潜匿(せんとく)などをすること。
    1. [初出の実例]「此聖代に徴兵忌避(チョウヘイキヒ)非国民が多いのは亡国の兆である」(出典:裸に虱なし(1920)〈宮武外骨知識階級に徴兵忌避者の多き理由)

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改訂新版 世界大百科事典 「徴兵忌避」の意味・わかりやすい解説

徴兵忌避 (ちょうへいきひ)

国民の必任義務とされた兵役を免れるための合法・非合法の行為。絶対的平和主義などの信条にもとづく良心的兵役拒否と,その他の動機にもとづく徴兵忌避とがあった。前者は日露戦争以来,少数であったが一部のキリスト教徒の間に出現し,徴兵を拒否して懲役に服する道を選んだ。合法的徴兵忌避は,初期の徴兵令が戸主とその後継者,代人料を払った者,外国在住者などを免役としたため,名目だけの養子縁組,代人料支払,外国渡航などの方法が行われた。また北海道,沖縄県は日清戦争(1894-95)後まで徴兵令が施行されなかったので本籍地をこれらの地方に移し,さらに朝鮮植民地化(1910)後数年は朝鮮移住者に対する徴兵令違反の裁判権がなかったことを利用するなどのことも行われた。兵役義務を事実上短期間で終わらせるための特権的制度,中等学校以上の卒業生に対する1年志願兵=幹部候補生制,師範学校卒業生に対する短期現役兵制(6週間現役兵,1年現役兵)も利用された。非合法の徴兵忌避で多かったのは徴兵検査を受けずに逃亡し所在不明となることであったが,約18年間発見されずに逃亡しつづけなければ,刑事罰と優先的徴兵という二重の罰を科せられた。徴兵検査に合格しないための詐病・自傷も多かった。兵役法では徴兵忌避に3年以下の懲役が科せられた。平時には徴兵検査合格者中から抽選で徴集されたので,全国各地でくじ逃れの神仏が信仰を集めた。
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百科事典マイペディア 「徴兵忌避」の意味・わかりやすい解説

徴兵忌避【ちょうへいきひ】

徴兵を免れること,あるいは免れようとすること。良心的兵役拒否が認められない国では,徴兵忌避は逃亡や自傷・仮病というような方法でしか行われ得ず,発覚すると厳重に処罰される。昭和前期の日本では,徴兵忌避逃亡者は年平均2000人に達したと推定される。→徴兵制兵役

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