怠文(読み)おこたりぶみ

精選版 日本国語大辞典 「怠文」の意味・読み・例文・類語

おこたり‐ぶみ【怠文】

  1. 〘 名詞 〙 自分過失を詫びる言葉を書いて、人に送る文。あやまり証文。怠状(たいじょう)
    1. [初出の実例]「『かやうに名簿(みゃうぶ)に、おこたりぶみをそへて出だす。すでに来たれるなり。されば、あながちに攻むべきにあらず』とて」(出典宇治拾遺物語(1221頃)一一)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「怠文」の解説

怠文
おこたりぶみ

怠状(たいじょう)・過状とも。過失を謝罪する意を伝える文書で,古代中世に用いられた。特定様式はなく,一般の個人上申文書と同様,古代には解(げ)の様式を用い,平安後期から申文・申状に変化した。正倉院文書には,病気で公務を欠席したことをわびる書状など,軽い内容の実例が残るが,中世には裁判過程で罪を公式に認めたり,訴訟の一部を過誤として取り下げる場合などに用いた。

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