精選版 日本国語大辞典 「性格」の意味・読み・例文・類語
せい‐かく【性格】
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一般にはその人特有の性質のうち比較的持続性をもつものをさす。英語のキャラクターcharacterの訳として用いられる場合には、語源であるギリシア語kharakterの「刻み込まれたもの」「彫りつけられたもの」の意味から由来するものとして、内面的な特性を示すが、一般にキャラクター・テストとはいわずパーソナリティー・テストというように、パーソナリティーpersonalityの訳として人格とともにほぼ同義に用いられている。
ある人が特定の場面で、ある行動をとる場合、同じような場面に出会っても、その人によってとる行動には違いがある。たとえば、道でそれほど親しくない知人に出会ったが、先方が気がついていないといった場合、ある人は黙って通り過ぎるし、別の人はこちらから声をかける、といった違いがある。このように、行動の個人差には単に環境的条件の差だけでなく、その人がだれであるかという主体的条件によって決まってくる面がある。性格は、このような他人との違いを説明しようとするとき用いられる概念である。
[浅井邦二]
性格に関する学説はギリシア時代の哲学者アリストテレスに始まるとされるが、医学者ヒポクラテスの体液説から同じ医学者ガレノスの四(よん)気質説への流れは、体液が気質に関係するとして、多血質、粘液質、胆汁質、黒胆汁質(ゆううつ質)の四気質説として説かれ、体液説が認められなくなった現代にも影響を及ぼしている。またイギリスの医学者ガルの骨相学では、頭蓋(とうがい)骨の形と精神的特徴を結び付けようとし、ドイツの哲学者クラーゲスの筆跡学では、筆跡によって書き手の性格をとらえようとした。近代の性格研究は、ヨーロッパの学者に多くみられる類型論的研究と、アメリカを中心とする特性論的研究とに分かれる。
[浅井邦二]
人の性格は十人十色といわれるように多様であるが、それを一定の理論に基づいた典型的なものによるタイプ(類型)に分類し、その構造を理解しようとする考え方によるものである。ドイツの哲学者のシュプランガーは、人間の追求する価値によって、理論的、経済的、審美的、社会的、政治的、宗教的の六つに分類する。単なる思索的な分類でなく実証的な研究として知られているドイツの精神医学者クレッチマーの研究では、精神病の患者の観察から、細長型、闘士型、肥満型という主要な体型が、分裂病、てんかん、そううつ病の患者のそれぞれに対応して多いという、体型と気質との関連を扱っている。そして一般の人々においても、体格と性格とが対応しているとし、性格を分裂性気質、粘着性気質、そううつ性気質の三つに分類して、その関連について述べている。身体型と気質型との関連については、アメリカの心理学者シェルドンWilliam Herbert Sheldon(1898―1977)の似たような研究があるが、典型というより相対的な把握による点が異なる。スイスの精神科医ユングの精神分析学の理論を基盤とした内向型、外向型の類型論は、この二つのタイプに、思考、感覚、感情、直観の四つの心理的機能を組み合わせて八つの類型とする。類型論的研究は、人間を直観的に、全体的に把握する立場が強調され、それが長所となっているが、反面、性格が画一的、固定的に把握されやすいとか、中間型、混合型が説明不足で、程度の差が説明されない、といった短所も指摘されている。
[浅井邦二]
個人がいろいろな場面を通じて比較的一貫して示す行動傾向を特性という。特性を性格の記述に用いられる基本的な概念(単位)として、その組合せによって性格の構造を理解しようとする考え方によるものである。アメリカで心理学者のキャッテルは、G・W・オールポートの特性論に基づいて、因子分析により12個の特性(因子)を抽出しており、同じくギルフォードも因子分析により10個の因子を発見している。特性論では、個人はこれら特性の総和で表され、個人間の差は個々の特性の量の差であると考える。特性論的研究は、因子分析など数量的・統計的方法を用い、個人を少数のタイプに当てはめることなく広範囲にわたって分析的に、各特性についての程度を示すことができる点に長所をもつ。しかし反面、個人の全体像や特殊性をそっくり把握するといったことができにくいという短所をもつ。なお、因子分析によることには批判もあるが、むしろ類型論的研究との接近に、この手法を用いようとする考え方もある。
[浅井邦二]
性格検査や面接、評定法といった性格の測定・診断に関する研究や、性格の形成・発達に関する研究などがある。性格形成に関しては、生物学的要因の問題と環境的要因の問題とがあり、それは性格の発達の問題にもつながる。環境的要因は単に自然環境だけでなく、むしろ親子関係を中心とする家庭環境、学校環境、友人関係、さらに職場環境などを含み、性格に及ぼす社会的、文化的な影響などが問題となる。発達的にも性格が成長の過程でどのように変化するか、変えられるかなどの問題は、乳児期から青年期に至る発達段階での問題ばかりでなく、最近では、さらに成年期から老年期に関心が向けられてきている。
[浅井邦二]
『依田新著『性格心理学』(1975・金子書房)』▽『本明寛他編『性格心理学講座』全6巻(1989・金子書房)』▽『詫摩武俊監修、青木孝悦他編『性格心理学ハンドブック』(1998・福村出版)』▽『西川隆蔵他著『新 自己理解のための心理学――性格心理学入門』(1998・福村出版)』▽『杉山憲司・堀毛一也編『性格研究の技法』(1999・福村出版)』▽『詫摩武俊・鈴木乙史・清水弘司・松井豊編『シリーズ・人間と性格』全8巻(1999~2001・ブレーン出版)』
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…しかし,心理学においてパーソナリティpersonalityの訳語として人格という語を用いる場合,それは道徳的な意味あいや価値的な評価は含まない。それは〈人がら〉あるいは〈性格〉の意味にちかく,たとえば〈パーソナリティとは,個人のなかにあって,その人の特徴的な行動と考えとを決定するところの,精神身体的体系の動的組織である〉(G.W.オールポート)という代表的な定義にみられるように,各人を特徴づけ,その人独自の行動様式をもたらす精神と身体の内的・統一的システムを意味している。 パーソナリティという語はラテン語のペルソナpersonaに由来するといわれ,それは元来,劇中でかぶる〈仮面〉を意味していたが,その後そこで演じられる役割を意味したり,役者自身や人間のもつ性質の総体を意味するものとしても用いられるようになった。…
※「性格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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