恐れ入る(読み)オソレイル

デジタル大辞泉 「恐れ入る」の意味・読み・例文・類語

おそれ‐い・る【恐れ入る/畏れ入る】

[動ラ五(四)]
相手好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。「ご厚情のほど―・ります」
相手に失礼したり、迷惑をかけたりしたことに対して、申し訳なく思う。「恐れ入りますが」の形で、ものを頼んだり尋ねたりするときなどのあいさつの言葉としても用いる。恐縮する。「ご心配をおかけして―・ります」
あまりのことに驚き入るばかりである。
㋐相手の才能力量に太刀打ちできないと思う。脱帽する。「―・った腕前だ」
物事のひどさにあきれる。「あれで秀才とは―・るよ」
非常にこわがる。
「この法師いよいよ―・りたり」〈著聞集・一七〉
[類語](1恐縮有り難い謝る謝するわびわび言平謝り陳謝謝罪多謝わびるかたじけないうれしいもったいないおそれ多い幸甚恐懼痛み入る心苦しい身に余る過分かしこまる畏れる謹むしゃちほこばる固くなる縮こまる小さくなるまじめ腐る身の縮む思い畏怖/(3驚くびっくりするどきっとするぎくっとするぎょっとするたまげる仰天する動転する喫驚きっきょうする驚愕きょうがくする驚倒する一驚する驚嘆する瞠目どうもくするあきれる唖然あぜんとする愕然がくぜんとする呆気あっけにとられる目を疑う目を丸くする目を見張る息をのむきもをつぶす腰を抜かす参る

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精選版 日本国語大辞典 「恐れ入る」の意味・読み・例文・類語

おそれ‐い・る【恐入・畏入】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 非常に恐れる。すっかりこわくなる。
    1. [初出の実例]「『〈略〉』といひて にらみてたてり。此の法師彌(いよいよ)おそれ入たり」(出典古今著聞集(1254)一七)
  3. あやまちを悟ってわびる。悪かったことを認めてあやまる。
    1. [初出の実例]「これまでも申入候事、返々恐(ヲソレ)入候と御披露候へとて、我と問注に負けて返しかば」(出典:米沢本沙石集(1283)三)
  4. 目上の人などに失礼なことをして、おそれおおいと思う。やや形式的なあいさつの言葉としても用いる。
    1. [初出の実例]「この事、一期の間かなふべからず、おそれいりて候へども、あしき御心得と存じ候」(出典:曾我物語(南北朝頃)五)
  5. 相手の好意などに対して、ありがたいと思う。かたじけなく思う。現代語では、多く「おそれいります」の形で用いる。
    1. [初出の実例]「身の一期(いちご)の間の御扶持・孫子までも忘れ申間敷(まうすまじき)御ことにて候。返々(かへすがへす)畏入(オソレイリ)候」(出典:申楽談儀(1430)田舎の風体)
  6. 相手の力量などにすっかり感心する。圧倒されて頭があがらなくなる。敬服する。おそれる。
    1. [初出の実例]「只今の御高論隔屏聴(たちぎき)して敬服(オソレイ)りました」(出典:開化のはなし(1879)〈辻弘想〉上)
  7. 物事の程度がひどくてまったく閉口する。あきれはてる。おそれる。
    1. [初出の実例]「傘(からかさ)のと冠辞をおいて、骨とつづけて、下の句に、はなればなれなどといふ所が、イヤ、おそれ入(イ)った事さネ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)

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