精選版 日本国語大辞典 「恩寵」の意味・読み・例文・類語
おん‐ちょう【恩寵】
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神が人間に与える恵み、神の無償の賜物(たまもの)のこと。聖寵ともいい、現在では恩恵といわれる。それは神の与えた対象物をさすだけではなく、与え主である神の慈しみを輝かせるものである。それとともにこの賜物を受ける人間を神の慈しみで包み込むことを意味している。『新約聖書』によれば、神の最大の恩寵は、父なる神が「自分の独子(ひとりご)を与えたるほど、この世を愛した」(「ヨハネ伝福音(ふくいん)書」3章16節)ことにある。キリスト信者はここに他のすべての賜物が含まれていると信じている。この確信は、「わたしたちすべてのために、自分の子をさえ惜しまずに死に渡された神が、どうして、御子(みこ)に添えてすべてのものをわたしたちにくださらないことがあろうか」(「ロマ書」8章32節)ということばのうちに表明されている。この恩寵はすべて神から無償で与えられたものであって、人間の功徳(くどく)によって得たものでない。神の「恩寵と真理とはイエス・キリストを通してきた」(「ヨハネ伝福音(ふくいん)書」1章17節)のであり、人間は彼を通してのみ父なる神から恵みを受けることができる。
この事態を神学的に言い直せば、イエス・キリストの十字架と復活の救いのわざを信ずる者は「神の子」になり、神はその者に神的本質そのものを譲与する。この神の自己譲与が恩寵の第一次的本質である。しかし、この自己譲渡は、この世においてすでに信者に与えられているけれども、それは十全には外に現れていず、また、これを保つために付随的な多くの神の恩寵が必要である。これらの恵みによって、信者は神の自己譲与を忠実に守り、死後神を直観し、至福に入ることができる。
[門脇佳吉]
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…美的範疇の一つ。崇高や醜と対立して,ものごとの上品な優雅さを語ろうとするものだが,悲壮や滑稽や狭義の美にくらべると両極的原理相互の緊張が弱くて穏やかな調和融合をあらわすにとどまり,明確な輪郭を定めがたい概念である。その形式的特徴を挙げれば,一つは一種の魅惑にあり,これは素朴な単純さや愛らしい弱小性に由来する。もう一つは両極的原理たる自然と精神との調和という道徳的意義の発現にある。J.C.F.シラーは人間の身体運動も道徳性をはらむ精神の表現であることに着目し,感性と理性,性向と義務との全き調和を〈美しき魂schöne Seele〉と呼び,これの発現こそ優美にほかならぬとして以後の優美論の方向を定めた。…
…万物は神を離れては虚無であるが,全宇宙のなかで人間だけがそのことを自覚する能力をもち,この能力が人間を超越者たる神との合一にいたるまでやむことのない探求へとかりたてる。しかしこの合一は根本的に神の恩寵によるものであり,人間の本性そのものである〈超越への能力〉は〈恩寵受容性〉にほかならない。この意味での〈超越〉を証言し,弁証するところに現代思想としてのカトリシズムの意義がある。…
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