じょう‐ちょ ジャウ‥【情緒】
※別れ霜(1892)〈樋口一葉〉一三「降りかかる
憂苦と繋がるる情緒
(ジャウチョ)に
思慮分別も烏羽玉
(ぬばたま)の闇くらき中にも」
② その物に接した時に受ける、しみじみとした特有の情趣。「江戸情緒を満喫する」
※まんだん読本(1932)花四天の鉄ちゃん〈
山野一郎〉「何となく頽廃した当時の
宮戸座の情緒
(ジョウチョ)」
※精神分析入門(1959)〈安田一郎〉七「
恐怖というのは〈略〉結果生ずる
感情━正しくは、情緒
(ジョウチョ)、あるいは
情動という━である」
[
語誌](1)「じょうしょ(情緒)」の挙例のように
漢籍にも見え、日本でも古くから用いられているが、本来「心の動くいとぐち」「感情の
発作」の意味であった。それが、
幕末から
明治初期にかけ、英語
emotion の
訳語として用いられ、
喜怒哀楽、
同情、嫉妬などの複雑な感情を指す
心理学用語となった。
(2)「緒」は
漢音がショで、チョは
慣用音、近世以前はジョウショと読んだが、明治以降ジョウチョとも読むようになる。明治・大正期を通じてジョウショが規範的な読みであったが、
現代ではジョウチョの方が一般的な読みとなっている。
じょう‐しょ ジャウ‥【情緒】
〘名〙
① おりにふれて起こるさまざまなおもい。喜怒哀楽などにつれて起こる複雑な感情。じょうちょ。
※
聖徳太子伝暦(917頃か)上「各得
二其情緒
一。無
二復再諮
一」
※文明本節用集(室町中)「情緒
(ジャウショ)」 〔
江淹‐泣賦〕
② (emotion の訳語)
心理学で、感情経験の
一種。喜び・怒り・悲しみ・恐れ・
憂い・驚きなど身体的
表出を伴う感情の動きをいう。情動。じょうちょ。
※
教育・心理・論理術語詳解(1885)「本能上ノ情緒
(ジョウショ)」
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デジタル大辞泉
「情緒」の意味・読み・例文・類語
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情緒
じょうちょ
「じょうしょ」と読むこともある。喜び、悲しみ、怒り、恐怖、不安のような一時的で急激な心の動きをいう。激しい身体的な表出を伴うので情動とよぶことが多い。身体的な表出というと外面的なことに注目しがちであるが、自律神経系―内分泌腺(せん)の活発な動きも含んでいる。文学では地域の風情に関連して用いられることが多い(例、下町情緒というような用法)ので、心理学の専門用語としては情動という概念を使ったほうがよい。
[大村政男]
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普及版 字通
「情緒」の読み・字形・画数・意味
【情緒】じよう(じやう)しよ・じよう(じやう)ちよ
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