惚れる(読み)ホレル

デジタル大辞泉 「惚れる」の意味・読み・例文・類語

ほ・れる【×惚れる/×恍れる/×耄れる】

[動ラ下一][文]ほ・る[ラ下二]
(恋愛対象として)心惹かれ夢中になる。恋い慕う。「女に―・れる」
人物物事魅力にとりつかれ、心を奪われる。心酔する。「心意気に―・れる」
(「聞く」「見る」など動詞の連用形に付いて)そのことに心を惹かれて夢中になる。うっとりする。「美声に聞き―・れる」
ぼんやりする。放心する。
「空をあふぎて―・れてゐ給へる」〈落窪・三〉
年老いてぼける。老いぼれる。
「いとどものも思ひ給へられず、―・れはべりてなむ、うつぶし臥してはべる」〈蜻蛉
[類語](1愛する恋する好くめる焦がれる思う慕う愛慕する思慕する恋慕する惚れこむれる見惚れる惚れ惚れ一目惚れ懸想けそう目尻を下げる思いを掛ける気がある惚れっぽい多情浮気移り気気が多い熱し易く冷め易い気移り心移り色気違いマダムキラーレディーキラー好き者助平すけべい漁色女好き男好きプレーボーイ女たらし女殺し好色好色家色好み鼻下長びかちょう手が早いちゃら男浮気者艶福艶福家放蕩ほうとう蕩児とうじ遊蕩ゆうとう色魔女狂い男狂い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「惚れる」の意味・読み・例文・類語

ほ・れる【惚・恍・耄】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ほ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 茫然となる。ぼんやりする。放心する。
    1. [初出の実例]「雷慌(ホレテ)七日七夜留まりて在り」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  3. 年老いて知覚や感覚がにぶくなる。もうろくする。ぼける。→ぼれる
    1. [初出の実例]「已に衰へ邁(す)ぎ老い耄(ホレ)」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
  4. 人、特に、異性に心をうばわれて夢中になる。一心におもいをかける。恋い慕う。
    1. [初出の実例]「あなけふたや、けふりはうばにやほれつらん」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))
  5. 人物や物などに感心して心ひかれる。心酔する。
  6. ( 他の動詞の連用形に接続して ) そのことに夢中になる。うっとりする。「見ほれる」「聞きほれる」

惚れるの語誌

中古から中世にかけては老齢や種々の肉体的精神的衝動のために放心状態となる意であった。のような「相手に夢中になる」「うっとりする」意に限定されるのは室町後期以降と思われる。また、その限定化は、古くからあった「痴呆」「耄碌」の意が濁音形の「ぼれる」「ぼける」に受け継がれたため、語形意味分担が生じた結果として考えることができる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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