精選版 日本国語大辞典 「慈悲」の意味・読み・例文・類語
じ‐ひ【慈悲】
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仏教で重視する用語。「慈」はサンスクリット語のマイトリーmaitrī(友情)にあたり、深い慈しみの心をさし、「悲」はカルナーkarunā(同情)にあたり、深い憐(あわれ)みの心をさす。仏典では、生きとし生ける者に幸福を与える(与楽(よらく))のが慈であり、不幸を抜き去る(抜苦(ばっく))のが悲であるというが、慈と悲はほとんど同じ心情を表し、マイトリーまたはカルナーという原語だけで「慈悲」と訳されることも多い。大慈、大悲、大慈悲というときは、仏や菩薩(ぼさつ)の慈悲を表す。仏の慈悲は、生ける者の苦しみを自己の苦しみとするので「同体(どうたい)の大悲」といい、上を覆いかぶせるものがない広大なものであるので「無蓋(むがい)の大悲」ともいう。諸経論には、慈悲に(1)生きとし生ける者に対して起こすもの(衆生縁(しゅじょうえん))、(2)すべての存在は実体がないと悟り執着を離れて起こすもの(法縁(ほうえん))、(3)なんらの対象なくして起こすもの(無縁(むえん))の3種があり(三縁の慈悲)、このうち無縁の慈悲が無条件の絶対平等の慈悲であり、空(くう)の悟りに裏づけられた最上のもので、ただ仏にのみあるという。
[藤田宏達]
『中村元著『慈悲』(1956・平楽寺書店・サーラ叢書)』
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…〈心が真赤に染まるような,激しい性愛〉のことで,仏教はその規制を説いたが,後代のタントラ的密教においては,〈男女交合〉を〈涅槃(ねはん)〉〈仏道成就〉とさえみなすようになった。 梵〈マイトリーmaitrī〉,巴〈メーッターmettā〉:〈慈・慈悲〉。原義は〈ミトラmitra(友)〉に由来する〈友情・友愛〉であるが,仏教では,とくに〈いつくしみ〉として尊重される。…
…なさけは,人と人との間の心づかいであるから,〈世は情け〉〈情けは人の為ならず〉というように,日本人の処世観,庶民の道徳の中で重要なことばの一つであった。それは,絶対的な仏の慈悲に対して,〈慈悲は上から情けは下から〉というように世間のことであり,〈人は情けの下に住む〉と説かれ,〈今の情けは後の仇〉〈情けも過ぐれば仇となる〉と考えられた。また〈恥を思わば命を捨てよ,情けを思わば恥を捨てよ〉というように,公的な道徳に対して私的な立場の拠りどころでもあった。…
…したがって正覚を開くための六波羅蜜の一つにかぞえられる。キリスト教の愛にあたるのが仏教では慈悲であるが,慈悲の実践は布施と不殺生である。日本仏教でも布施はよくおこなわれ,法要があればかならずその後で貧窮者への施しがなされた。…
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