出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…その根拠は,国際法が私人に関してなんらかの規定をしていても,それは国際法が私人を直接規律しているわけではなく,国家に対して個人の取扱いや処遇について規定しているのであって,私人に対しては,国際法はあくまで間接的に規律を及ぼしているにすぎない,というものである。たしかに,この私人の国際法主体を否定する学説のいうところにもかなりの妥当性はあるが,他方で,たとえばヨーロッパ人権条約や信託統治地域の住民の利益保護に関する国際連合憲章の規定のように,私人に関する規定を国際法が直接用意し,その履行に関して,国家を介さずに私人が直接救済を求めることが国際法上可能な場合が,例外的にではあるが出てきていることも事実である。そこで,限定的な場合を念頭に置いてではあるが,私人の国際法主体性を今日においてまったく否定することはできないといえよう。…
…国際社会の組織化に伴って,国際機構が当事者となって締結する条約の数が増加する傾向にある。 具体的な条約は個々の場合に必ずしも〈条約treaty〉と呼ばれるわけではなく,〈取極arrangement〉〈協定agreement〉〈憲章charter〉〈規約covenant〉〈規程statute〉〈交換公文exchange of notes〉〈往復書簡exchange of letters〉〈議定書protocol〉〈覚書memorandum〉などさまざまな名称が付せられる。これらのものは名称の差異にかかわらず実質的には条約と同意義であり,その内容によって名称が一定しているわけでもない。…
※「憲章」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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