成文法(文章に表された法)の形式をとる憲法をいう。不文憲法に対する。さらに成文憲法が法典(体系的に編成された成文法)の形式をとる場合は成典憲法もしくは憲法典という。成文憲法を形式的意味の憲法といい、これに対して、成文憲法を含む国家の基礎法の全体を実質的意味の憲法という。一般に社会生活が複雑になると法の成文化が必要となるが、とくに政治上の変革が行われた場合は、新しい制度の成文化が要請され、成文法がとくに発達する。憲法の成文化も、近世諸国における政治体制の自由主義化によってもたらされた。1776年ないし89年の間に制定されたアメリカ諸州の憲法および1791年フランス憲法がその嚆矢(こうし)である。現在、独立国のほとんどすべてが成文憲法を有し、それをもたない主要な国としては、イギリスをあげうるくらいである。日本の成文憲法には、1889年(明治22)に公布された「大日本帝国憲法」(明治憲法と通称)、1946年(昭和21)に公布された「日本国憲法」がある。
[池田政章]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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