戦慄く(読み)ワナナク

デジタル大辞泉 「戦慄く」の意味・読み・例文・類語

わなな・く【戦慄く】

[動カ五(四)]
恐怖緊張・寒さなどのためにからだがふるえる。「怒りのあまり―・く」
声や楽器の音などがふるえる。
「ただ泣きに泣きて御声の―・くもをこがましけれど」〈行幸
ちぢれる。そそける。
「髪なども…所々―・きちりぼひて」〈・八三〉
動揺する。ざわざわと動く。
「下﨟の物見むと、―・き騒ぎ」〈落窪・二〉
[類語]おののく震え上がる震える戦慄震え身震い武者震い胴震い震駭恐れおののく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「戦慄く」の意味・読み・例文・類語

わなな・く【戦慄】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
  2. 恐れや緊張、また、寒さ、病気などのために、体、手足などが小刻みにふるえる。ぶるぶるふるえる。戦慄(せんりつ)する。おののく。
    1. [初出の実例]「手足和那那岐弖(ワナナキテ)〈此の五字は、音を以ゐる〉得殺したまはざりき」(出典古事記(712)中)
    2. 「御几帳の中をすべり出でさせ給も、わななかれて、とみにも動かれさせ給はざりけり」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
  3. 音や声がふるえる。ふるえ声になる。
    1. [初出の実例]「神楽の笛のおもしろくわななき吹きすまされてのぼるに」(出典:枕草子(10C終)一四二)
  4. 整然とした形にならないで、乱れた状態になる。ざわめく。動揺する。
    1. [初出の実例]「下臈の物見んとわななき騒ぎ笑ふこと限りなし」(出典:落窪物語(10C後)二)

戦慄くの補助注記

恐怖のため震えるの意を表わす語には、ほかにヲノノクがあり、これは、ワナナクの母音交替した形と考えられる。

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