日本大百科全書(ニッポニカ) 「戯言養気集」の意味・わかりやすい解説
戯言養気集
ぎげんようきしゅう
仮名草子(かなぞうし)。2巻。作者不明。慶長(けいちょう)(1596~1615)末年ごろの成立。内容は上巻44話、下巻29話の短編笑話と「前関白(さきのかんぱく)秀吉公御検地帳」と「朝鮮国御進発之人数帳(ごしんぱつのにんずうちょう)」を収める。江戸時代の咄(はなし)の本の、出版された最初のもので、古活字版横本(よこほん)で出版された。所収の話も、貞安(ていあん)、信長、策彦(さくげん)、道三(どうさん)、石田三成(みつなり)、秀次(ひでつぐ)、盛阿弥(せいあみ)、吉田益庵(えきあん)、駒井中務少輔(こまいなかつかさのしょう)、信玄、岡田堅桃(けんとう)らの実在人物の滑稽譚(こっけいたん)や逸話と、より一般的な笑話が混在しており、話末にも教訓的言辞が多く付され、御伽衆(おとぎしゅう)の雑談の記録といった性格が強くみられる。
[岡 雅彦]
『武藤禎夫・岡雅彦編『噺本大系1』(1975・東京堂出版)』