精選版 日本国語大辞典 「手当」の意味・読み・例文・類語
て‐あて【手当】
〘名〙
① (━する) あらかじめその用に備えること。また、そのために配置される人。用意。準備。
② (━する) 算段すること。工面すること。
③ てだて。方法。手段。
※御触書天保集成‐八六・寛政四年(1792)閏二月「支配向少給之もの共え、御手当且風儀取直、正道競ひ候様にとの儀に付」
⑤ 心付けの金品を与えること。また、その金品。
⑥ 支払いに用意する金銭。費用。
※人情本・風俗粋好伝(1825)前「今は、尾羽うち枯らして、妻子を養育むべき手当(テアテ)も薄く」
⑦ (━する) もてなすこと。馳走。はからい。あつかい方。
※歌舞伎・鏡山錦栬葉(加賀騒動)(1879)四幕「厚い手当(テアテ)に与るより内へ帰って楽々と、身分相応麦飯の茶漬を喰ふのが楽しみだ」
※人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)初「医療の手当(テアテ)を尽すと云へども、次第々々に弱り行き」
⑨ 必要な世話をすること。
※牧民金鑑‐一・安永六年(1777)八月(古事類苑・法律五六)「初判差出文段疑敷迄に而候はば、手当に不レ及、初判差出候積、評議相済」
⑫ 取引市場での清算取引で、受け渡しする品物を準備すること。
て‐あたり【手当】
〘名〙
① 手にさわること。手でさぐること。手さぐり。また、その感触。手ざわり。
※落窪(10C後)四「手あたりけはひなどのをかしければ、うれしと思ひけり」
② 手ぢか。手もと。手にあたる程の所。
③ 扱い。応対。人あたり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
④ 手ごたえ。手がかり。
※歌舞伎・善悪両面児手柏(妲妃のお百)(1867)二幕「声の嗄れる程呼んで歩いても、ちっとも手当(テアタ)りのないには」
⑤ 鼓のうち方。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・誹諧独吟集(1666)下「昨日よりけふは頭のいたみいで さらに皷(つづみ)のならぬ手あたり〈幸和〉」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六「聖書をひき出し〈略〉手当(テアタリ)にひきあけて、其頁の初一句を読むと」
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