網漁具の一種。引網類の底引寄せ網類で、網は一袋両翼型すなわち袋網の網口両側に袖網(そであみ)がつき、その先端に引綱がつく。錨(いかり)を降ろして船を固定し、網が海底から離れないように引き寄せる。おもな漁獲魚種はイワシ、シラス、イカナゴ、アジ、カレイなどで、沿岸の水深20~40メートルが主漁場となる。一般に機船底引網類の小型機船底引網や一艘(そう)引機船底引網中、一袋両翼型網を手繰網とよぶ。それは、これらの網が、日本古来の手繰網が動力船により操業されるうちに、独自の発達を遂げたことに由来する。漁具の構造はだいたい日本古来の手繰網と大差ないが、使用する漁船の大きさ、機関の馬力によって規模が異なる。引綱の長さは、水深の15倍くらい使用し、最初に投網(とうもう)した位置前面の海底に群生する魚群を、左右の引綱で囲んだ形から始まって、しだいにその囲みを長楕円(だえん)形に変じ、引綱で脅かしながら目的魚を袋網の真っ正面に駆り集め、そこで急に網を引き、漁獲するものである。
[笹川康雄・三浦汀介]
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