托葉(読み)タクヨウ

デジタル大辞泉 「托葉」の意味・読み・例文・類語

たく‐よう〔‐エフ〕【×托葉】

葉柄またはその基部につく葉状片。ふつう一対ある。双子葉植物に多くみられ、葉が生長すると落ちるものが多い。
[類語]木の葉枝葉草葉葉っぱ押し葉葉身葉脈葉柄葉末単葉複葉葉序双葉若葉若緑新緑万緑青葉紅葉こうよう紅葉もみじ黄葉照り葉落ち葉落葉枯れ葉朽ち葉病葉わくらば松葉

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精選版 日本国語大辞典 「托葉」の意味・読み・例文・類語

たく‐よう‥エフ【托葉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 葉の葉柄の基部付近にある付属体。双子葉植物で最もよくみられるが、葉状(エンドウ)、突起状(サクラ)、刺状など形は種類によって異なり、これを欠く種もある。〔植学訳筌(1874)〕
  3. 霜除けのために花を綿でおおうこと。また、その綿。きせわた。
    1. [初出の実例]「若しくは托葉(〈注〉キセワタ)を作(な)して花に衣(き)せ」(出典江戸繁昌記(1832‐36)初)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「托葉」の意味・わかりやすい解説

托葉
たくよう

葉の葉柄基部付近に生ずる葉的な部分をいう。双子葉植物に多くみられ、普通は1対となっている。葉は一般に葉身と葉柄と托葉から成り立つといわれ、托葉は葉を構成する基本的な部分であるが、葉柄と托葉の一方、あるいは両方をもたない葉も多い。托葉は葉身に比べて芽の中での成長が速く、未発達の葉身を保護する役割をもつといわれる。また、托葉は春、芽が開いて葉身が展開すると落ちてしまうことが多い。普通、冬芽を覆う鱗片葉(りんぺんよう)は葉に相当するものとみられるが、カバノキ科ブナ科ニレ科では、その鱗片葉が托葉に相当するものであると考えられている。エンドウでは托葉に相当する部分が比較的大きく、葉身の部分とともに葉が枯れるまで光合成を行っているし、ユリノキの托葉も緑色で、比較的長く生存する。このように、托葉にはさまざまなものがあり、また系統的にも異なった起源があると思われるが、この問題は学問的には未解決となっている。

[原 襄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「托葉」の意味・わかりやすい解説

托葉
たくよう
stipule

葉柄の基部付近に生じる葉身とは別の葉状片で,双子葉植物で例が多い。エンドウのように,葉身のおのおのの小葉よりむしろ大型になっていることもあるが,同じマメ科でも線状の小托葉をもつにすぎないものもあり,サルトリイバラではつる状,ニセアカシアではとげに変形するなど,大きさ,形状は変化に富む。葉が伸びきったときには脱落するものが多い。単子葉植物ではやや例が少く,裸子植物では存在しない。

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世界大百科事典(旧版)内の托葉の言及

【葉】より

…小さい葉の例としてはウキクサの仲間の例や,コケシノブ科には0.5mmに達しないものもある。葉は葉柄と葉身からできており,托葉をもつものもある。葉柄petiole(stipe)は発達しないものもあるが,一見茎のようにしっかりしているものもある。…

※「托葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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