折柄(読み)オリカラ

デジタル大辞泉 「折柄」の意味・読み・例文・類語

おり‐から〔をり‐〕【折柄】

ちょうどその時。折しも。副詞的にも用いる。「折柄豪雨をついて出発」「折柄聞こえる祭り囃子ばやし
(接続助詞的に用いる)…の時なので。…の時節だから。「天候不順の折柄
その物事にふさわしい折。ちょうどよい折。
「はかないことも、所柄―なりけり」〈紫式部日記
[類語](1折しも矢先折よく・運よく・たまたま折節おりふし折も折丁度頃しも時しもきわ際して偶然適時/(2時節柄

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精選版 日本国語大辞典 「折柄」の意味・読み・例文・類語

おり‐からをり‥【折柄】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 物事を引きたてるのにふさわしい場合。ちょうどよいおり。
      1. [初出の実例]「又をりからあはれなりし人の文、雨など降り、つれづれなる日、さがし出でたる」(出典:枕草子(10C終)三〇)
    2. その場合。ちょうどそのことのあった時。ちょうど都合のいい時節。
      1. [初出の実例]「太刀を取ってのおりからは、思ひ寄らぬ事なるべし」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)下)
      2. 「誰も来る心配はなひヨ、トいふ折節(オリカラ)に、何所やら、田舎には似合はぬ音〆の三味線」(出典人情本・英対暖語(1838)三)
    3. ( 接続語的に、用いて ) …の場合であるから。…の時節だから。…の時節ですが。
      1. [初出の実例]「不順之折柄御病体如何」(出典:正岡子規宛夏目漱石書簡‐明治二三年(1890)七月九日)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ちょうどその時。おりしも。ちょうど。
    1. [初出の実例]「げにおもひまはせばそちはよしつね、愚僧は武蔵坊にたとへて、折から法師なり又兄分なり」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)四)

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