精選版 日本国語大辞典 「抹香鯨」の意味・読み・例文・類語
まっこう‐くじら マッカウくぢら【抹香鯨】
〘名〙 マッコウクジラ科の巨大な歯クジラ。雌で一三メートル、雄では最大一八メートルに達する。頭部が大きく、体長の四分の一~三分の一を占め、方形を呈する。体は暗石版色または黒色で、腹面と下あごおよび吻(ふん)端は白い。背びれはなく、背部後半に隆起が並ぶ。雌とその子どもから成る一〇~二〇頭の家族群を形成し、繁殖期には頭の巨大な雄が参加し、一夫多妻で繁殖する。食物はおもに深海に生息する魚類や大型のイカ類。世界の暖海に分布し、日本近海では黒潮内を往来する。皮下脂肪と頭部の脳油の採取のため捕獲されたが、現在は捕獲禁止。なお、古くから香料として珍重されてきた龍涎香(りゅうぜんこう)は大腸内にときどき形成されるワックス成分。まっこくじら。まっこう。《季・冬》 〔生物学語彙(1884)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報