挟む(読み)ハサム

デジタル大辞泉 「挟む」の意味・読み・例文・類語

はさ・む【挟む/挿む】

[動マ五(四)]
物と物との間に差し入れる。「しおりを本に―・む」「パンにハムを―・む」
物と物との間に入れて落ちないようにする。両側から物をしっかり押さえる。「はし菓子を―・む」「ドアに指を―・む」
何かをしている途中に、別のものを入れる。さしはさむ。「休憩を―・む」
何かを間に置いて相対する。「テーブルを―・んで座る」
心にいだく。「疑いを―・む」「異心を―・む」
(「小耳にはさむ」の形で)聞くとはなしに聞く。聞き込む。「噂を小耳に―・む」
つま[用法]
[可能]はさめる
[動マ下二]《「はざむ」とも》に同じ。
「左右の殿上人きざはしを―・めて欄干に候ひて」〈著聞集・一九〉
[類語]1挟み込む挟み入れる差し入れる差し込む挿入する/(2つま押さえる手挟たばさ脇挟わきばさ/(3挫く弱める砕く邪魔妨害阻害そがい干渉横槍よこやり障害支障障壁さわ邪魔だて水を差す水をかける足を引っ張る削ぐ圧伏圧殺抑える妨げる遮る立ち塞がるせきとめる制止捕まえる握る押しとどめるストップを掛ける掣肘せいちゅう封殺諫止阻む食い止める立ちはだかる遮断妨害阻止ブレーキが掛かる腰を折る/(4隔てる置く

さし‐はさ・む【挟む/挿む/差(し)挟む】

[動マ五(四)]
間に入れる。はさみこむ。「しおりを本に―・む」
他人の話に途中から割り込む。別の意見などを言って干渉する。「口を―・む」「異論を―・む」
ある考えを心中に含み持つ。「疑念を―・む余地のない結論
[可能]さしはさめる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「挟む」の意味・読み・例文・類語

はさ・む【挟・挿】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. 物の間にさし入れて動かないようにする。間に入れて、おさえて落ちないようにする。
      1. [初出の実例]「熱鉄の鉗を以て口を鉗(ハサム)で開か令む」(出典:石山寺本法華経玄賛平安中期点(950頃)六)
      2. 「狐の心付かざるやうに、尾の先きをしかとはさみて」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉五)
    2. 間に置く。まん中に入れる。
      1. [初出の実例]「六百余里して烏仗那国に入る。蘇婆薩堵河を夾(ハサメ)り」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)二)
      2. 「舟は蒸気機関室を夾みて左右に客室あり」(出典:落梅集(1901)〈島崎藤村〉利根川だより)
    3. 所有する。持つ。伴う。
      1. [初出の実例]「明宗は小者を一人はさまず、ふぐせが一腰なし」(出典:本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事)
      2. 「ウマ イッピキ fasamu(ハサム) ホドノ ヒトデ ゴザル」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    4. 心の一端にいだきもつ。
      1. [初出の実例]「後来(ゆくさき)取越苦労、其中に小袖の染色模様工夫も挿(ハサ)みて、嬉しさ、気遣しさ、楽しさ、心元無さ」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
    5. ( 「耳にはさむ」の形で ) 聞きこむ。
    6. ( 「口をはさむ」などの形で ) 人が話をしている途中に、横からことばをさし入れる。また、ことばの流れの中に他の語をさし入れる。
      1. [初出の実例]「他の人に向って話す時には、〈略〉今の人が『ネー』『ナー』『デス』などの言葉をはさむと」(出典:筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉一)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ( 「はざむ」とも ) [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「くしげかがみの、かげみえがたく、とぐわきもしらず、うちはさめておきたるにならひて」(出典:大鏡(12C前)一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android