捕える(読み)トラエル

デジタル大辞泉 「捕える」の意味・読み・例文・類語

とら・える〔とらへる〕【捕(ら)える/捉える】

[動ア下一][文]とら・ふ[ハ下二]

生き物をつかまえる。捕獲する。「珍獣を―・える」「魚を―・える」
㋑逃げる人をとりおさえる。「犯人を―・える」
離すまいと手でしっかりつかむ。「逃げる男の腕を―・える」

㋐ある物事を確実に自分のものとする。手に入れる。「チャンスを―・える」
㋑物事の本質・内容などを理解して自分のものとする。把握する。「意味を的確に―・える」「特徴をうまく―・える」
感覚にはっきりと感じとる。「微妙な音の差を―・える」「レーダー機影を―・える」
ある部分を特にとりたてて問題とする。それにこだわる。「言葉じりを―・える」
(「心をとらえる」「人をとらえる」などの形で)強く関心を引く。自分に引きつけて影響を与える。「若者の心を―・える」
[類語](1捕まえる取り押さえる捕る引っ捕らえる生け捕る召し捕るからめ取る引っくくとらまえる捕獲する拿捕だほする捕縛する逮捕する検束する検挙する挙げるぱくるしょっぴく引っ立てる/(3㋑)解釈認識

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捕える」の意味・読み・例文・類語

とら・えるとらへる【捕・捉】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]とら・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 手もとに取りおさえた状態を持続させる。
  2. 人や生き物をつかまえる。逮捕する。捕獲する。
    1. (イ) 人をつかまえる場合。
      1. [初出の実例]「天皇、〈略〉人をして根使王の宅(いへ)を見使む。〈略〉収(トラヘ)て之を殺しつ」(出典:日本書紀(720)雄略一四年四月(前田本訓))
      2. 「ひめはおとこをとらへて、はなすまひとする」(出典:虎明本狂言・賽の目(室町末‐近世初))
    2. (ロ) 動物をつかまえる場合。
      1. [初出の実例]「淡海の海(み) 瀬田の渡りに 潜く鳥 田上(たなかみ)過ぎて 宇治に等邏倍(トラヘ)つ」(出典:日本書紀(720)神功元年三月・歌謡)
  3. 人や物の部分をつかむ。
    1. (イ) 手足や人に付属するものをつかむ場合。
      1. [初出の実例]「逃げて入る袖をとらへ給へば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. (ロ) 物を手でつかむ。にぎる。
      1. [初出の実例]「ただ手のかぎり笠をとらへさせて」(出典:枕草子(10C終)二三八)
  4. 抽象的な事柄を掌握する。
    1. (イ) 時間や時期についていう。
      1. [初出の実例]「津田は機会を捉(トラ)へてすぐ腰を上げた」(出典:明暗(1916)〈夏目漱石〉三七)
    2. (ロ) 事実や知識を把握する。
      1. [初出の実例]「調査なり研究なりが、どれだけ生きた農村や農民の姿を正しくとらえてなされているかが」(出典:ものいわぬ農民(1958)〈大牟羅良〉生きている農村)
    3. (ハ) ( 「人をとらえる」「心をとらえる」などの形で ) 強く影響を及ぼしたり、心をひきつけたりする状態をいう。
      1. [初出の実例]「この現(うつつ)われを囚(トラ)へて、日は檻(をり)の外よりぞ酷(むご)くも臨む」(出典:有明集(1908)〈蒲原有明絶望)

捕えるの補助注記

室町時代ごろからヤ行にも活用した。→とらゆ(捕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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