捺染(読み)なっせん(英語表記)printing

精選版 日本国語大辞典 「捺染」の意味・読み・例文・類語

なっ‐せん【捺染】

〘名〙 布地模様を切り抜いた型紙をあて、染料すり込み模様を染め出すこと。また、その方法機械捺染型染め(手工捺染)とがある。なせん。おしぞめ。プリント。〔稿本化学語彙(1900)〕

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デジタル大辞泉 「捺染」の意味・読み・例文・類語

なっ‐せん【×捺染】

[名](スル)染料をのりにまぜ、直接布地にり付けて染色すること。特に、型を用いた模様染めをいう。プリント。おしぞめ。なせん。
[類語]染め物染め付け着色染色型染め

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改訂新版 世界大百科事典 「捺染」の意味・わかりやすい解説

捺染 (なっせん)
printing

繊維製品の染色には,染浴に浸す浸染と,染料を含む捺染のり(糊)を印捺して模様染を行う捺染がある。

捺染は技法的には直接捺染法,抜染法,防染法などを含み,操作的には機械捺染,手捺染に分類される。まず染料や助剤をのりと練り合わせて捺染のりをつくり,一般的には捺染機で布地に捺染のりを印捺(プリント)する。次いで水蒸気で加熱(スチーミング)し染料を繊維によく浸透,染着させ,セッケン液等で処理(ソーピング)して付着染料などを除去,水洗したのち乾燥し製品とする。このように染料の直接染色性を利用するのが直接捺染法であるが,あらかじめ布全体を浸染により無地染とし,漂白剤を含む抜染のりを捺染し部分的に白く色を抜いたり(抜染法),または逆にあらかじめ布に防染のりを捺染しておいてから全体を浸染する方法(防染法)もある。直接捺染法で使用する染料はそれぞれ繊維に対し直染性をもつものを選ぶ。たとえばセルロース繊維の布を捺染するには,直接染料アゾイック染料,反応染料,建染染料などが,動物繊維布には酸性染料酸性媒染染料が,ポリエステル繊維布には分散染料が,アクリル繊維に対してはカチオン染料および分散染料が使用される。糊剤としては,生ふ-トラガントのり,友禅のり,アルギン酸ナトリウム,CMC,ブリティッシュガム(デンプンのりの一種)などが用いられる。

1940年ころ,アメリカで開発されたまったく別な顔料捺染法が日本でも広く使用され,今日に至っている。この方法は水または非水溶媒に分散させた顔料を樹脂とともに捺染し,加熱(100~130℃)固着させる方法で,W/Oエマルジョン型とO/Wエマルジョン型に二分される。現在使用されている大部分は後者の方法で,これは水を連続相とし,乳化剤の存在で,水に不溶な有機溶媒および樹脂を乳化させ,顔料粒子を水中に分散させた捺染のりを使用する。固着剤としての樹脂は熱可塑性のモノマーを共重合させる。顔料捺染は,あらゆる織布に捺染可能なこと,染料に比べ耐候性大,染色工程が簡単,繊細な模様を明りょうに出せる,染料との併用が可能などの長所がある反面,接着剤を使用するため,摩擦堅牢度が低く,織布の風合いを害するなどの短所があり,これを補うため種々の改良がなされている。
染色
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「捺染」の意味・わかりやすい解説

捺染
なっせん

「なせん」ともいう。広い意味では、色を直接布面に施すプリント染めのこと。たとえば、絞りや中形(ちゅうがた)、﨟纈(ろうけち)染めのように染料に浸(つ)けて浴染せずに、顔料、もしくは染料を顔料のように媒染によって発色した状態にしたものを直接布面に塗り、摺(す)り、押捺して染めるものをいう。狭義に捺染という場合は、模様を型で置いたものをいう。たとえば同じ友禅染めでも型を用いない手描き友禅は、普通、捺染とはいわない。これに対して、型友禅はいかに精巧なものでも捺染ということになる。更紗(さらさ)でも、描き更紗に対してブロックによるものが捺染の範疇(はんちゅう)に入ることになろう。また、同じく型を用いて、しかも染料を直接布面に塗って染めるものでも、紅型(びんがた)や江戸小紋は、型でつけるのは防染の糊(のり)であって、染料ではないので、通常捺染とはいわない。

 日本の染織でもっとも古いもので捺染と思われるものには、上代染織のなかの摺絵(すりえ)がこれにあたるであろう。紙に行われた吹絵(ふきえ)などもこれに類するかもしれない。摺絵の伝統はその後、蛮絵(ばんえ)と称する木型による摺染めにみられ、平安時代の料紙などにも盛んに用いられたようである。

 近世に入ると、摺りによる捺染は、たとえば摺り匹田(ひった)などに非常に多く用いられている。明治に入って、化学性染料の導入とともに色糊の分野が開発されて、型友禅系の捺染が発達し、布面だけでなく、織糸に捺染を施した捺染絣(がすり)などまで現れている。

[山辺知行]

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百科事典マイペディア 「捺染」の意味・わかりやすい解説

捺染【なっせん】

布に色模様を染め出すこと。染料を糊(のり)に溶かした色糊を用いて布に模様をプリントし,次いで染料の固着を行い,水洗して仕上げる。無地に染めた布に抜染糊をプリントし,その部分の色を抜いたり,別の色に変える抜染や,染料の吸収を防ぐ糊をプリントした後浸染して白抜きに染める防染も行われる。友禅染はかつては色糊で模様を手で描いていたが,後に型紙を使うようになり,さらに近年では捺染機を使って大量生産するようになった。
→関連項目染色染色機抜染

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「捺染」の意味・わかりやすい解説

捺染
なっせん

なせんともいう。繊維に染着性をもつ染料を捺染糊に混ぜてペースト状にして,印捺する染色法。その歴史は古く,前 2000年頃にさかのぼり,ヨーロッパで行われたと考えられる。主として木綿の染色に用いられ,染料としては直接染料,酸性染料,塩基性染料,ナフトール染料および建染 (たてぞめ) 染料が用いられる。

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普及版 字通 「捺染」の読み・字形・画数・意味

【捺染】なつせん

模様染め。

字通「捺」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の捺染の言及

【焼付け】より

…一般に写真のネガ像を使って陽画(ポジ像)を作る目的でポジ用感光材料に露光を与える操作をいう。写真撮影では通常,フィルム上にネガ像が形成されるため,被写体と明暗の調子が同じポジ像を作るにはそのネガ像を印画紙に密着して露光し,現像処理を経てポジ像を作る。このような密着焼付けによって得たポジ像はネガ像と同じ寸法に仕上げられる。小型カメラで撮影して得るネガ像は一般に引伸機によって印画紙上に画像を拡大(これを引伸しenlargementという)して焼き付け,現像処理によって所望の大きさのポジ像を作る。…

【染色】より

…染色は染料のもつ繊維材料への染着性を利用して,繊維等に染料を収・固着させる技術である。したがって繊維材料に顔料を固着材で固定する技術,たとえば顔料捺染(なつせん)などは染色には含めない。特別な例を除いて一般的には染料は水溶液として分子状に拡散したのち,染料の繊維に対してもつ特定の親和性(染着性)によって繊維上に収・固着される。…

※「捺染」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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