控え(読み)ヒカエ

デジタル大辞泉 「控え」の意味・読み・例文・類語

ひかえ〔ひかへ〕【控え/×扣え】

時間や順番などが来るのを待つこと。待機すること。「―の間」
忘れないように書きとめておくこと。また、その書いたもの。メモ。「手帳に電話番号の―がある」
必要時のために別に用意しておくこと。また、そのもの。「―の投手
正式の書類とは別に、写しとしてとっておくもの。「受領証の―」
建造物の支えとして補う柱・壁・くいなど。「塀に―をつける」
生け花で、主な枝のほかに添えに出す枝。
石垣の、積み石の奥行き
を操って船首を左の方に向けること。⇔押さえ
引きとめること。制止すること。
「何とぞおもしろき中程にて、神仏の御―あって」〈浮・織留・三〉
10 そばにいて加護すること。
仏神の―にして、二度たびよみがへりのあるまじき事にもあらず」〈浮・新可笑記・二〉
[類語](1待機控える待つ待ち構える待ち受ける待ち設ける待ち伏せる待ち侘びる待ちあぐむ待ちあぐねる待ちくたびれる待ち明かす待ち伏せ待ちぼうけ心待ち鶴首満を持す手薬煉てぐすね引く首を長くする爪を研ぐ身構える身構えスタンバイ待ち遠しい待ちどお待ち望む待ち焦がれる待ち兼ねる待望切望熱望希求願う一日千秋腕をさする腕を撫すしびれを切らすそわそわ待てど暮らせど待ち切れない/(4副本写し手控えコピー

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精選版 日本国語大辞典 「控え」の意味・読み・例文・類語

ひかえひかへ【控・扣】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ひかえる(控)」の連用形の名詞化 )
  2. ひきとどめること。とめること。
    1. [初出の実例]「何とぞおもしろき中程にて、神仏の御ひかへあって」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)三)
  3. 内輪にすること。十分にしないこと。見合わせること。残しておくこと。遠慮すること。
    1. [初出の実例]「わかままなことおひかゑなしにかやうに申ますほとに」(出典:重刊改修捷解新語(1781)一)
  4. 不時の用に備えること。万一の場合のためにあらかじめ準備すること。また、そのものやその人。「控えの投手」
  5. 後日の用のために記録しておくこと。また、そのもの。また、正式の書類とは別に、写しとしてとっておくもの。
    1. [初出の実例]「細字に認めた控(ヒカヘ)を取り出す」(出典虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一八)
  6. 傍にあって加護すること。神仏などが、そばにいて助け守ること。
    1. [初出の実例]「仏神のひかへにして二たびよみがへりのあるまじき事にもあらす」(出典:浮世草子・新可笑記(1688)二)
  7. 時の来るのを待つこと。待機すること。また、そのための場所やその人。また、主たる室に付属する部屋。
    1. [初出の実例]「その下の暗い板の間は、明るい広い店の間の次の控えで」(出典:格子の眼(1949)〈島尾敏雄〉)
  8. 立花で、請(うけ)と流(ながし)の間に添えて、左右のつりあいをとる枝。控枝。また、その配置。
    1. [初出の実例]「扣枝(ヒカヘ)は、副(そへ)たけにひとしきはあしし」(出典:男重宝記(元祿六年)(1693)三)
  9. 馬をつなぎとめる綱。
    1. [初出の実例]「朽たる縄のひかへにて、荒たる駒は留るとも、頼なきは人心」(出典:浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)三)
  10. 石積みで、他の石より多く壁の中に入りこんで倒壊するのを防ぐ石。〔日本建築辞彙(1906)〕
  11. 和船を櫓で漕ぐとき、船首を左へ向けること。また、舟方の語で、小舟で、櫓によって取舵(とりかじ)にすること。⇔おさえ
  12. 壁、建物などが傾くのを防ぐ支え。〔日本建築辞彙(1906)〕

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