金融機関が異業種などの他企業と提携して融資を行う仕組み。金融機関と事業会社(銀行と不動産会社など)が提携するタイプと、金融機関どうし(銀行と信販会社など)が組むタイプの、大きく二つの形態がある。
金融機関と事業会社の提携ローンは、住宅(住宅リフォーム)、別荘、ゴルフ会員権、自動車、教育教材などの購入資金のほか、太陽光発電設備、オール電化住宅、ガス冷暖房・給湯システムなどの整備にあてる資金など、広範な融資に使われている。いずれも事業会社(不動産会社、住宅会社、会員権会社、自動車ディーラー、電機メーカー、ガス会社など)が金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合、保険会社、ノンバンクなど)と提携し、事業会社が自らの顧客に対し金融機関を斡旋(あっせん)する手法をとる。顧客に返済能力があるかどうかの審査業務は金融機関が担当する。事業会社と組まない非提携ローンに比べ、審査から融資までの一連の手続きが円滑に進み、融資が迅速に実行されるという特徴がある。一方で、提携先が決まっているため選択の幅が狭いことや、金融機関だけでなく、事業会社にも手数料を支払わなければならないなど、利用者にとってのデメリットもある。
金融機関どうしの提携ローンには、銀行や保険会社が車の購入資金や住宅のリフォーム資金などを信販会社経由で融資する仕組みや、保険会社などの高金利商品の購入資金を銀行が融資する仕組みなど、多種多様なローンがある。ただし金融機関どうしが提携するため、審査などの責任の所在があいまいになることがあり、こうしたことも原因と考えられるトラブルがたびたびおきている。1980年代後半のバブル経済期には、生命保険会社の高金利の個人年金保険の購入資金を地方銀行や信用金庫などが相次いで融資したが、バブル経済崩壊で生命保険会社が高金利を払えずに破綻(はたん)し、社会問題となった。また、2004~2006年ころには、消費者金融機関と銀行の提携ローンで、消費者金融機関が契約者に対し、消費者契約法を上回る高金利での返済を要求していたことが問題となった。さらに、2013年(平成25)には、みずほ銀行が信販会社のオリエントコーポレーション(オリコ)を通じて暴力団構成員などに融資していた問題が発覚している。その後、他の銀行や生命保険会社なども同様の提携ローンで反社会勢力へ融資していたことが明るみに出て社会問題となった。
[編集部]
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