擬き(読み)モドキ

デジタル大辞泉 「擬き」の意味・読み・例文・類語

もどき【擬き/抵牾/牴牾】

《動詞「もど(擬)く」の連用形から》
日本芸能で、主役にからんだり、前に演じたものをこっけいにまねたりすること。また、その役・演目里神楽ひょっとこの「」に対する「三番叟さんばそう」など。
もどくこと。
「たをやかならぬさまなり、といふ―はあれど」〈栄花初花
名詞の下に付いて、それに匹敵するほどのもの、また、それに似て非なるものであるなどの意を表す。「梅―」「がん―」「芝居―のせりふ」
[類語]似非えせ偽物にせもの贋物偽物ぎぶつまがい物まがいまやかし似る似寄る似つく似通う通う相通ずる類するまが類似する相似する近似する酷似する肖似しょうじするあやかる似寄り瓜二つ生き写し丸写しそっくり疑似空似紛らわしいカーボンコピー

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精選版 日本国語大辞典 「擬き」の意味・読み・例文・類語

もどき【擬・抵牾・牴牾】

  1. [ 1 ] ( 動詞「もどく(擬)」の連用形の名詞化 )
    1. 張り合って似せて作ること。また、似せて作ったもの。まがいもの。
      1. [初出の実例]「小侍従がもどきの句といひつべし」(出典:古今著聞集(1254)五)
    2. 非難批評
      1. [初出の実例]「あなさがな、世にもどきあらんことは聞こえじ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
      2. 「たをやかならぬさまなりといふもどきはあれど」(出典:栄花物語(1028‐92頃)初花)
    3. 日本の諸芸能で主役のまねをしたり、主役にからんだりする道化役。また、その曲目。能の「翁」における三番叟や、里神楽でひょっとこ面をつけた道化役など。
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 名詞に付いて、それと対抗して張り合うぐらいのもの、それに匹敵するものであるという意を表わす。また、そのものに似て非なるものであるという意をも表わす。「がんもどき」「うめもどき」など。
    1. [初出の実例]「御物(ごもつ)もどきとも云つべきかりの香(にほ)ひ」(出典評判記難波の㒵は伊勢白粉(1683頃)二)

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