放心(読み)ホウシン

デジタル大辞泉 「放心」の意味・読み・例文・類語

ほう‐しん〔ハウ‐〕【放心】

[名](スル)
心を奪われたりして、魂が抜けたようにぼんやりすること。「あまりの出来事放心して立ちつくす」「放心状態」
気にかけないこと。心配ごとを心から払いのけること。放念。「どうぞ御放心ください」
[類語]自失虚脱うつけ呆然茫然自失唖然上の空

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精選版 日本国語大辞典 「放心」の意味・読み・例文・類語

ほう‐しんハウ‥【放心】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 良心を失うこと。また、ほかのことに迷って本体を失った心。
    1. [初出の実例]「月花をさへ、あだに見ず。みな心のいましめとする事ぞ。放心をおさむるといふは、これらをこそいふべけれ」(出典:仮名草子・色物語(1661‐73頃))
    2. [その他の文献]〔孟子‐告子上〕
  3. ほかに気をとられて、また何も考えずにぼんやりすること。放神
    1. [初出の実例]「放心して人の顔ばかり視てゐたお鍋は」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
  4. 心配することをやめること。安心。放神。放念。
    1. [初出の実例]「一身の内を緩和し、人類の放心を求めしむるに忙はしければ」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉三)

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普及版 字通 「放心」の読み・字形・画数・意味

【放心】ほう(はう)しん

放縦。また、心をひらく。唐・王維〔園〕詩 手を携へて涼風ひ 心を放ちて乾坤む (あいあい)たり王の州 宮一に何ぞ(おほ)き

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とっさの日本語便利帳 「放心」の解説

放心

日本では心奪われて茫然とすること。中国では憂慮しないこと。「放心!」は「心配しないで」。

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世界大百科事典(旧版)内の放心の言及

【悪】より

…孟子は性善説を唱え,荀子は性悪説を唱えたが,この二つの説は理論的には矛盾しない。孟子の考えるところでは,人間の本性には良心と放心という二つの傾向がある。良心は他者と心情的に共感し,善へ向かおうとする心理傾向であり,放心は外界の事物に動かされて欲望を追求する心理傾向である。…

※「放心」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」