精選版 日本国語大辞典 「教養小説」の意味・読み・例文・類語
きょうよう‐しょうせつ ケウヤウセウセツ【教養小説】
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本来はドイツ語で、主人公の内的教養形成の過程を描く小説のこと。一般にこの語の創始者は哲学者W・ディルタイとされている。19世紀末、彼はゲーテの「ウィルヘルム・マイスターの一派をなす小説群を教養小説と名づけたい」と提案、その理由を「これらの本では、純粋に人間的な教養、個人のさまざまの段階における形式のみが問題とされている」と述べている。彼によれば、かかる文学傾向は「当時のドイツ人の精神の内面文化への志向」から生じたものであった。しかし、実際にはこの語の発生はもっと古くて、その当初は、18世紀啓蒙(けいもう)主義の哲学的、宗教的教養形成理念に基づく、人間の魂の漸進的な発展物語をさしていたのである。その場合に、従前の叙事詩が外的事件の描写を目的とするのに反して、小説の真髄は人間の内部の動き、生成発展、完成を描くところにあるとされた。「人格の調和的完成」を目ざすゲーテの『ウィルヘルム・マイスター』は、その代表的作品であるが、それ以前にはウィーラントの『アガトン』にその草分けの姿が認められる。
ところが、ディルタイの提言後、一般にドイツ精神の内面性が強調されるにつれて、教養小説は典型的にドイツ的な小説形態を意味するものと考えられるようになり、はるか中世や近世にまでさかのぼってその前身が求められたが、これは正しいとはいいがたい。ゲーテ以後、19世紀の数多くの小説群がこの系譜に属し、20世紀に入っては、トーマス・マンの『魔の山』、ヘルマン・ヘッセの『ガラス玉演戯』などがその偉大な子孫である。このように、元来はドイツ文学理論の枠内で発生し、したがってドイツ文学に限って有効な語であろうが、いまでは普遍化され、小説類型を示す語として、広く世界各国の同じような性質の作品に適用されている。なお、これに近い用語に、同じくドイツ語に由来する発展小説Entwicklungsromanがある。
[義則孝夫]
『登張正実著『ドイツ教養小説の成立』(1964・弘文堂)』
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(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)
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