精選版 日本国語大辞典 「散文詩」の意味・読み・例文・類語
さんぶん‐し【散文詩】
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伝統的な韻律によらずに、散文の形式を借りて表現された詩をいう。いわゆる詩的散文、あるいは美文とは異なる。詩は古くからかならず頭韻や脚韻を用いて書かれ、韻文と同義語に扱われてきたが、19世紀になってフランスで、従来の古典主義の韻律に反発して、ボードレールが『小散文詩』Petits Poèmes en Prose(1869。のちに『パリの憂鬱(ゆううつ)』とよばれた)を出して新しい方向づけをした。それ以来、マラルメやランボーなど多くの象徴派詩人たちがこれを踏襲し、20世紀ではアポリネールやブルトンらの超現実主義者たちも多く散文詩を書いている。フランス語に比べてリズムの抑揚がはっきりしている英語では、詩か散文かどちらかに偏する傾向が強い。しかしポーは『詩の原理』(1848~49)のなかで詩を「美の韻律的創造」と定義して、厳密に韻文としてとらえたが、他方では『アッシャー家の崩壊』(1839)のような一種の散文詩の領域を開拓した。20世紀ではW・C・ウィリアムズ、シャピロ、アシュベリなど数は少ないが、アメリカにおいても散文詩は書かれている。
日本ではボードレールの影響を受けて萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)や三好達治(みよしたつじ)が散文詩を試み、昭和初年代には雑誌『詩と詩論』を中心に北川冬彦、安西冬衛(あんざいふゆえ)らの散文詩運動が盛んになり、第二次世界大戦後は田村隆一、吉本隆明(よしもとたかあき)、入沢康夫(いりさわやすお)、粒来(つぶらい)哲蔵、長谷川龍生(はせがわりゅうせい)など多くの書き手が現れて、散文詩は定着したと思われる。
[新倉俊一]
『新倉俊一著『ノンセンスの磁場』(1980・れんが書房新社)』▽『「詩の原理」(『萩原朔太郎全集 第6巻』所収・1975・筑摩書房)』▽『春山行夫著『詩の研究』(1936・第一書房)』
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…長年の宿痾(しゆくあ)である梅毒の悪化に伴い,ベルギーに滞在中ナミュールで昏倒し,パリで悲劇的生涯を終え,モンパルナス墓地に埋葬された。死後まとめられた《小散文詩集,パリの憂鬱Petits poèmes en prose,Spleen de Paris》は,散文詩というジャンルを文学として確立した。ベルレーヌ,ランボー,マラルメ,バレリーらによって,ボードレールの名声は20世紀に入って世界的となり,日本でも明治時代に早くも紹介され,上田敏の訳がある。…
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