デジタル大辞泉 「数字」の意味・読み・例文・類語
すう‐じ【数字】
2 統計・成績・計算など、数字によって表される事柄。「
3 数個の文字。
[アクセント]1・2はスージ、3はスージ。
[類語](1)文字・
数を書き表すのに,いろいろな文字,記号を使う。今日,われわれはアラビア数字と漢数字をおもに使っている。アラビア数字0,1,2,3,4,5,6,7,8,9はもともとはインドで生まれたものである。それがアラビアに伝わり,アラビアからヨーロッパへ入ったのでアラビア数字と呼ばれている。インド数字と呼ぶのがほんとうであろう。インドでは10個の数字0,1,2,……,9と位取りの原則をうまく組み合わせて,すべての数字を表すようにした。この方法は計算(筆算)をするときに非常に有効で,算用数字といわれるゆえんである。インドの数字がヨーロッパでふつうに使われるようになったのは意外に遅く13~14世紀以降である。いろいろな理由が考えられるが,それまで数字は記録のみに用いるのであって,計算はそろばん(アバクス)で行われたからであろうと考えられている。そろばんでは各桁ごとに対応する数の石をおいて,数のない桁はあけておく。位取りの原則と0が自然に使われていたわけである。計算にもっとも適した数字であるインド数字がヨーロッパで広まったのは,人々が筆算をするようになってからである。これには,紙が安くなり入手しやすくなったこととも深い関係があると考えられている。インド数字が現在の形で書かれるようになったのは15世紀ころで,それまではいろいろな字形が使われた。
数字の起源をたどるのはむずかしいが,未開人はたいてい,線をその数だけ並べて書くとか,小さい〇を並べるなどの方法で数を表している。エジプトの数字は,十進法を使い,各桁ごとに記号を変えている点では優れたものといえる。何かの形を抽象した文字,象形文字を重ねて使うという点では原始的なものと似ている。例えば百位のは縄を,千位のはハスの花をかたどったといわれる。
メソポタミアの数字も一位の桁は縦棒を並べて表した。十位の桁では棒を横にしてを使った。百位,千位もくふうされたようであるが,やがて六十進法と位取りの原則が使われるようになった。このため1から59までの数を上記の,を組み合わせて表し,それを位取りの原則に従って並べることにより数を記した。例えば=2×60+22=142。位取りの原則を有効に利用するためには空位を意味する記号,ゼロが必要であるが,メソポタミアではが使われた。しかし,どういうわけか,これは末尾には使われず,は1か,60か,602か区別がつかない。実用上は困らなかったのであろう。
われわれが現在もときどき使っているローマ数字は,十進法の中に五進法の要素が混じっているのと,Ⅳ=4,ⅡⅩ=8というように減法が使われているのが特徴である。五進法の要素はギリシアのアッティカ式の影響であると思われる。この数字も桁ごとで記号を変えるという点ではエジプトと同じであるが,象形文字でなく,10,100,1000などを意味するギリシア語の頭文字を取っている。10=Δ,Δは⊿εκαのΔ,Ηεκατον(ギリシア古語)から100=Η,Χτλιοιから1000=Χなど。
マヤ文明は独特の数字をもっていた。位取りの原則をもち,0を使っていた。特徴的なことは二十進法と十八進法の組合せで,五進法の要素もある。例えば,・=1,=5,=12,=0,=6×20=120,ところが=7×(20×18)+2×20=2560,=202×18+2×(20×18)+0×20+5=7925。20×18を単位に使ったのは,1年が18ヵ月,1ヵ月が20日であった(ただし年末に5日加えて,1年は365日)からである。
→記数法 →ゼロ
執筆者:丸山 正樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
数を表す文字をいう。ものを数えるという行為は、地球上の生物のなかで人間だけがもつ能力であるが、先史時代にどのように数え、どのように記録していたかは十分に明らかではない。
もっとも素朴な形での数の表し方としては、1本の棒にその数だけ刻み目をつけるものであるが、やがて大きい数を数え、記録するために簡単で系統的な数組織が生まれ、それを表す符号が考え出された。数組織では、古くから人間の指の数を基礎としたものが多くの民族の間で用いられている。
数を表す文字としての数字は、それぞれの古代文明において、書く技術つまり書く道具によって異なった発展がみられる。たとえば、バビロニアでは粘土板にとがった筆記用具が用いられ楔形(くさびがた)数字が生まれ、古代エジプトではパピルスとペンにより象形数字が生まれた。マヤでは棒切れと小石、中国や日本では毛筆が使われて、漢数字が発展した。
数字によって数を書き表す方法(記数法)は位取りと関連をもち、大きな数の記数には新しい符号が用いられている。たとえば、早くから十進法を採用したエジプト人は、零を含む位取りを知らなかったため、一、十、百、千、……の数字に新しい文字を使った。ヒエログリフでは、一の位は垂直な棒、十の位は放牧したウシに使うつなぎ道具、百の位は長さを測る巻測量綱、千の位はハスの葉、万の位は指、十万の位はオタマジャクシ、百万の位は驚いている人、といった符号が用いられた。零の記号が初めて使われたのは紀元前300年ごろのバビロニアで、当時の零の記号は現在の0ではなく、Wを横にしたような形であった。零の記号が出現するまでは零の部分は空白にしていたといわれる。
今日、世界で共通して使われている1、2、3、4、5、……、0という数字は算用数字、アラビア数字とよばれるが、その発生はインドであるとされる。つまり、インドで使われていた零記号を含む数字と十進法位取りの数字が西方に伝わり、イスラムにおいて少しずつ改変され、それが12世紀ごろヨーロッパに伝わって修正されていったものである。そしてヨーロッパの文化的・政治的優勢もあって急速に世界に広まった。ローマ数字はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅴ、Ⅹといった文字であるが、たとえば4をⅣ(5-1)、9をⅨ(10-1)というように減法原理を使っているのが特徴である。
[内田 謙]
『ヒース著、平田寛・菊地俊彦・大沼正則訳『ギリシア数学史』(1959・共立出版)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…文法的には,言語によって名詞に含まれたり形容詞に含まれたりすることがあり,また同じ言語の数詞が一部は名詞的曲用をし,他は形容詞的曲用をすることもあるが,数を表す点でまとまりがあるのと,一般にそれらを構成する要素を列挙してその結合のしかたを説明することができる点などから,いずれの言語についても一つの品詞として取り扱われる習慣がある。数詞numeral(以下n.と略す)はその機能によって,必要に応じて,基数詞cardinal n.,序数詞(順序数詞)ordinal n.,配分数詞distributive n.,倍数詞multicative n.,分数詞(部分数詞)partitive n.,集合数詞collective n.,不定数詞indefinite n.などの区別がなされる。術語の用法は必ずしも一定していないが,one,two,threeなど事物の数を表す語が〈基数詞〉,first,second,thirdなどのように順序を表す語が〈(順)序数詞〉と呼ばれることには問題がない。…
※「数字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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