文芸(読み)ブンゲイ

デジタル大辞泉 「文芸」の意味・読み・例文・類語

ぶんげい【文芸】[書名]

文芸雑誌。昭和8年(1933)改造社から発刊、昭和19年(1944)に河出書房(現河出書房新社)に移った。高見順中野重治織田作之助野間宏らの作品を掲載。

ぶん‐げい【文芸】

言語によって表現される芸術総称詩歌・小説・戯曲などの作品。文学
文学とその他の芸術。また、学問技芸学芸芸文。「文芸の興隆期」
[類語]文学学芸

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精選版 日本国語大辞典 「文芸」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐げい【文芸】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 学問と技芸。学芸。芸文。
      1. [初出の実例]「博士のわかさかり学問する時文芸をこころみて謬(あやまり)なければ是を文章生に補す」(出典:塵袋(1264‐88頃)五)
      2. [その他の文献]〔大戴礼‐文王官人〕
    2. 手紙を上手に書くわざ(日葡辞書(1603‐04))。
    3. 言語によって表現される芸術。詩、小説、戯曲、随筆などの総称。文学。また、広く絵画・彫刻などの造型芸術を含めていう場合もある。
      1. [初出の実例]「或は学術を以て、或は文芸を以て」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 文芸雑誌。昭和八年(一九三三)一一月改造社から創刊。織田作之助ら新人の紹介に貢献した。同一九年七月軍部による改造社の解散に伴い廃刊
    2. [ 二 ] 文芸雑誌。[ 一 ]のあとをうけて、昭和一九年(一九四四)一一月、河出書房より創刊。第一次戦後派の新人を育てた。同三二年三月一時休刊後、同三七年三月河出書房新社より復刊。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文芸」の意味・わかりやすい解説

文芸
ぶんげい

文芸雑誌。1933年(昭和8)11月~1944年7月。改造社発行。全129冊。復刊、1944年11月~。河出書房(現、河出書房新社)発行。いわゆる「文芸復興」の機運のなかで『文学界』『行動』に1か月遅れて創刊された。純文学ばかりでなく大衆文学や海外文学にも力を入れるなど昭和10年代のもっとも権威ある総合文芸雑誌としての役割を果たした。初代編集長は上林暁(かんばやしあかつき)。石坂洋次郎『麦死なず』、高見順『如何(いか)なる星の下に』などの長編をはじめ、伊藤整『幽鬼の街』、中野重治(しげはる)『空想家とシナリオ』、織田作之助『夫婦善哉(めおとぜんざい)』などの名作や問題作が掲載された。太平洋戦争開戦以後はしだいに軍国色を強め、1944年7月の改造社解散によって廃刊。同年11月から河出書房(1957年河出書房新社と改称)によって復刊され、野田宇太郎杉森久英(ひさひで)、巌谷大四(いわやだいし)(1915―2006)、坂本一亀(かずき)(1921―2002)らが編集長として腕を振るい、戦後の新しい文学の舞台として数々の大作、傑作が発表された。また、別冊として『現代文豪読本』『別冊文芸』『特集文芸』なども刊行した。『文芸』は1957年3月号で休刊、1962年3月に復刊し、その後1986年春季号より季刊となる。おもな掲載作品として野間宏『青年の環(わ)』第二部・第三部、中村真一郎『空中庭園』、井上光晴(みつはる)『地の群れ』、高橋和巳(かずみ)『悲の器』、埴谷雄高(はにやゆたか)『闇(やみ)の中の黒い馬』、石原慎太郎『行為と死』、古井由吉(よしきち)『杳子(ようこ)』など、戯曲では山崎正和(まさかず)(1934―2020)『世阿弥(ぜあみ)』、三島由紀夫『喜びの琴』など、評論では中村光夫『風俗小説論』などがある。

[東郷克美]

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普及版 字通 「文芸」の読み・字形・画数・意味

【文芸】ぶんげい

文章技芸。〔大唐新語、七、知微〕士のを致すは、を先にしてを後にす。(王)勃等、才名りと雖も、躁淺露(せんろ)なり。

字通「文」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文芸」の意味・わかりやすい解説

文芸
ぶんげい

文芸雑誌。 (1) 1933年 11月~44年7月。通巻 129号。改造社発行。プロレタリア文学運動退潮後の創作精神の高揚を反映して創刊され,小説,評論を中心に音楽,美術評論などにも及ぶ幅広い編集方針を貫き,石坂洋次郎の『麦死なず』,高見順の『如何なる星の下に』などの力作を掲載した。改造社が文芸統制で解散したため廃刊。 (2) 1944年 11月創刊。 (1) を改造社の解散後,発行所を河出書房に移して継承した雑誌。第2次世界大戦下のほとんど唯一の文芸雑誌として細々と文学の命脈を守り,戦後は野間宏,武田泰淳,中村真一郎ら,いわゆる戦後派の作家を起用して新鮮な誌風を示した。出版社の倒産による休刊期 (1957年4月~62年2月) をはさんで,86年からは季刊誌となり現在にいたっている。

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