精選版 日本国語大辞典 「文選」の意味・読み・例文・類語
もんぜん【文選】
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中国、南朝梁(りょう)の昭明太子蕭統(しょうとう)が側近の文人たちの協力を得て編集した文章詩賦(ふ)のアンソロジー。800余の作品が37種の文体に分けられている。30巻。漢魏(かんぎ)以来文学創作が活発となり、作品数が増すにつれ、優れた作品の選集が求められるようになった。その集大成として現れたのが『文選』である。先行する他の選集は時代とともに滅んだ。『文選』が選択の対象としたのは、文章詩賦の類で、経書や諸子百家の書および史書などは原則的に除外され、また小説の類は無視されている。時代は春秋戦国の古代から当代の梁にまでまたがるが、当時現存の文人のものは含まれていない。選択の基準は、蕭統の序にみえる「事は沈思に出でて、義は翰藻(かんそう)に帰す」に集約される。内容ある美文が典型とされたのである。後世批判がないわけではないが、全体として漢魏六朝(りくちょう)の文学を具体的作品でみごとに体系づけている。所収の作品が第一級の資料であるばかりでなく、文学理論の書(『文心雕竜(ぶんしんちょうりょう)』など)と並んで六朝文学批評の大きな成果である。唐代科挙の試験に詩賦が課せられたこともあり、『文選』は創作の手本として重んじられた。唐の李善(りぜん)が注して30巻を60巻とし、その系統の清(しん)の胡克家(ここくか)の復刊したテキストが最良とされる。
日本への伝来は古く、すでに「十七条憲法」(604)に本書からの引用が指摘されており、また『万葉集』の部立(ぶだて)も本書の体例をモデルにしているといわれる。さらに万葉の歌人をはじめ、奈良平安の文学には、漢詩文のジャンルのみならず、本書所収作品の影響がみられ、愛読されたことが知られる。そのほか貴重な古鈔本(こしょうほん)がいくつか伝えられており、江戸時代には和刻本も出版されている。
[成瀬哲生]
『斯波六郎・花房英樹訳注『世界文学大系70 文選』(1963・筑摩書房)』▽『網祐次・内田泉之助訳注『新釈漢文大系14・15 文選(詩篇)』(1963、1964・明治書院)』▽『中島千秋訳注『新釈漢文大系79~81 文選(賦篇)』(1977~・明治書院)』▽『網祐次訳注『中国古典新書 文選』(1969・明徳出版社)』▽『小尾郊一・花房英樹訳注『全釈漢文大系26~32 文選』(1974~76・集英社)』▽『戸川芳郎他訳注『中国の古典23・24 文選』(1984、1985・学習研究社)』
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梁(りょう)の昭明太子蕭統(しょうとう)の編。30巻。周より梁に至る百数十人の詩と散文800余を収録し,美文が多い。唐の李善注(りぜんちゅう)など6人の注をあわせた『六臣注文選』60巻があり,日本文学への影響も大きい。
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…将来は,ごく上等の書籍のほか名刺,便箋,挨拶状などが,その特徴を発揮する分野となろう。
[工程]
活版印刷は,活字の製造,文選,植字,印刷という工程で行われる。(1)活字の製造 書体デザインから金属製の文字パターンをつくり,これを母型彫刻機にかけて縮小彫刻し,文字部分を黄銅(シンチュウ)材に精密に彫りくぼめた母型をつくる。…
…各新聞社とも〈編集委員〉という専門記者制度を設けているのは,このためである。新聞記事新聞記者
[製作]
第2次大戦後まで,新聞は,編集局から回ってきた原稿に基づいて活字が拾われて15字詰めに組まれ(文選),それをさらに整理部の指示に従って周囲を罫線で囲んだり,特別の字詰めに組み変えたりし(小組み),それらを集めて紙面1ページ大に組み上げ(大組み),その上に紙型用紙をのせて上から圧力をかけて紙型をつくり(紙型取り),紙型を半円形に曲げたものに600℃にとかした鉛合金地金を流し込んで鉛版をつくり(鉛版鋳造),それを輪転機にかけて印刷する,という工程だった。これをHTS(hot type system)またはホット・メタル・システムhot metal systemという。…
…中国で,古く書翰は,1尺の長さの木牘,きぬ(帛),紙などに書かれたので,尺牘,尺素,尺楮(せきちよ)などの名があるという。書翰が文学ジャンルの一つとして位置を占めたことは,たとえば《文選》に〈書〉という部類が立てられ,そこに司馬遷〈任少卿(じんしようけい)に報ずる書〉や嵆康〈絶交書〉などの作品が収められていることからも知られよう。明・清の文人や学者たちについて,それぞれの文集とは別に尺牘集が編まれているのは,書翰の模範文例集としての意味をももった。…
※「文選」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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