土壌用語。自然の土塊を割ってみると,局部的に地色と異なった色の模様がみられることがあり,これを斑紋とよぶ。日本でもっとも普通なのは,水田土壌の灰色の地色に散在する赤褐色(鉄)や褐黒色(マンガン)の斑紋である。湛水(たんすい)状態で生成する還元態の2価の鉄イオンFe2⁺やマンガンイオンMn2⁺が,落水後酸化されて局所的に濃縮して沈殿してできる。その形状により根の穴に沿った糸根状,割れ目表面の膜状,基質中の雲状,点状などに分けられる。さらに強湿田地帯では,青灰色の地色に炭酸鉄FeCO3の白い斑紋や,藍色のラン鉄鉱Fe3(PO4)2の斑紋がみられることがある。一方,洪積台地の排水の悪い所では,黄褐~赤褐色系の地色に,根の穴や割れ目などの孔隙(こうげき)に沿って明るい灰色の斑紋が形成される。なお,鉄,マンガンの酸化物や炭酸鉄は,濃縮が進むとしばしば硬化する。この硬化したものは結核または結塊とよんで,斑紋と区別するのが普通である。
執筆者:三土 正則
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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