料簡(読み)リョウケン

デジタル大辞泉 「料簡」の意味・読み・例文・類語

りょう‐けん〔レウ‐〕【料簡/了見/了簡】

[名](スル)
考え。思慮分別。「悪い―を起こす」
考えをめぐらすこと。
「好く―して前後を考えて見たら」〈紅葉金色夜叉
こらえること。堪忍。
熊胆が出るや否や帰って仕舞ったと云う事がちゃんと分ったから、書生さん中々―しない」〈福沢福翁自伝
とりはからい。処置
「このことを語りなばいかなる―もありやせんと思ひ」〈伽・猿源氏〉
[類語]考え所見所懐所思所存存念存意思惑おもわく魂胆はら腹づもり思い一存

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精選版 日本国語大辞典 「料簡」の意味・読み・例文・類語

りょう‐けんレウ‥【料簡・了簡・了見・量リャウ見】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「料」は、はかる、かんがえるの意。「簡」は、えらぶ、しらべるの意 )
  2. ( ━する ) よく考えて、より分けること。考察して検討すること。
    1. [初出の実例]「本義云。此前料簡仏出」(出典:勝鬘経義疏(611)一乗章)
    2. 「この御詠ともを、よくよく御らんせられ候て、しかるへきやうにれうけん候へく候」(出典:師郷記‐永享五年(1433)自一一月六日至同一七日紙背(某書状))
    3. [その他の文献]〔蔡邕‐太尉楊公碑〕
  3. ( ━する ) 考えをめぐらして判断すること。
    1. [初出の実例]「行在所事。〈略〉京師為行也。以此等文了見也」(出典:貴嶺問答(1185‐90頃))
    2. 「其中に又などかは雨降る事無らんと、了簡(リョウケン)しける智慮の程こそ浅からね」(出典:太平記(14C後)七)
  4. 思慮。考え。分別。思案。また、考え方。
    1. [初出の実例]「よろしくそれは今定め申すにおよばず、この下にて御了見候へ」(出典:毎月抄(1219))
    2. 「そりゃアどういふ了簡(リャウケン)だ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
  5. とりはからい。処置。
    1. [初出の実例]「将軍逐電不実歟、又云、所詮師直了間歟」(出典:園太暦‐観応元年(1350)一一月一八日)
    2. 「能い能い、某が了簡を以、八百年が間旱損水損の無い様にして取らせう」(出典:虎寛本狂言・神鳴(室町末‐近世初))
  6. ( ━する ) 怒りや不満をこらえ、がまんすること。腹立たしいのをたえしのぶこと。おおめにみること。堪忍。宥恕(ゆうじょ)
    1. [初出の実例]「身共さへ了簡すれば死るには及ばぬ事じゃ」(出典:虎寛本狂言・鎌腹(室町末‐近世初))
    2. 「何程詫びても了簡(レウケン)は成りません」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一)

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普及版 字通 「料簡」の読み・字形・画数・意味

【料簡】りよう(れう)かん

はかりしらべる。漢・〔大尉楊秉碑〕三司り、を沙汰し、貞實を料し、抽、之れとと同じうす。

字通「料」の項目を見る

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