墳墓の一形式。墳丘はふつう截頭円錘形をなす。ときに方形の造出(つくりだし)をもつものや,2,3の段をもって築かれる大型のものがある。類似の例は世界各地にみられるが,とくに東アジアで発展を遂げた。中国では,中山王墓や秦始皇陵で知られるごとく,戦国から漢代にかけて盛行し,唐代にも著しい。朝鮮では,北部の高句麗で石塚,土塚として盛んに築かれ,輯安(しゆうあん)の将軍塚のような切石段築の整美なものも生み出されたが,南部にはきわめて少ない。日本では古墳時代を通じて各地で営まれたが,地域により疎密の差があり,前方後方墳との関連の強いものも少なくない。前期には島根県東部などで重要な位置を占め,中期には各地の首長墓として築かれるが,畿内では大型前方後円墳の陪冢(ばいちよう)の形式としても多用された。6世紀以後は前方後円墳に代わって大王陵の形式として採用されるが,それとともに奈良,大阪の南部を中心に発達した。なお,弥生時代には方形周溝墓や方形台状墓といった平面方形の墳墓がすでにみられ,山陰地方などでは四隅が外へ突き出る〈四隅突出形方形墓〉も築かれたが,古墳時代の方墳とは区別される。
→古墳
執筆者:和田 晴吾
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墳丘の平面形が方形をなす古墳。頂部は平坦で,大型のものは段築をなす。古墳前期からみられ,中期には陪塚(ばいちょう)にしばしば採用された。後期後半から春日向山古墳など天皇陵にも採用され,大型方墳も千葉県岩屋古墳(国史跡)など各地で認められる。出雲地方に多く分布することで知られる。同じ方形台状をなす弥生時代の墳丘墓や,古墳時代の方形周溝墓(しゅうこうぼ)との関係も問題である。
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… 日本の古墳の墳丘は,工法からいえば,土を盛って作った土塚と,石を積みあげた積石塚とがある。形態からいえば,規模の小さい円墳,方墳と,大型のものをふくむ前方後円墳,前方後方墳とがあり,特定の時期にあらわれたものとして,前期の双方中円墳,中期の帆立貝式古墳,後期の双円墳および上円下方墳などがある。また,外形の種類と関係なく,古墳には周濠のないものと,周濠をめぐらすものとがある。…
※「方墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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