方方(読み)カタガタ

デジタル大辞泉 「方方」の意味・読み・例文・類語

かた‐がた【方方/×旁】

[名]
(方方)「人々」の敬称。かたたち。「お世話になった―」
あちこちの貴人の部屋。
「あまたの御―を過ぎさせ給ひて」〈桐壺
いろいろの方角場所。また、いろいろの方面事柄。あちらこちら。ほうぼう。あれこれ。
「男君達はみな、…―に流され給ひて」〈大鏡・時平〉
[代]尊敬の意を含んだ二人称の人代名詞。本来は複数をさすが、単数にも用いる。
あなたがた。みなさん。
「―は定めて聞き及ばせ給ひたる事も候ふらん」〈太平記・五〉
あなた。
「―のお名をば何と申すぞ、と問へば」〈虎清狂・鈍根草
[副]
いろいろなことをするさま。あれこれ。さまざま。なにやかや
「私の御事をし給はむと、―劣らずしつらはれて」〈宇津保・沖つ白浪〉
いろいろの所へ向かうさま。あちこち。ほうぼう。
「―に鳴きてわかれし群鳥むらどり古巣にだにも帰りやはする」〈風雅・雑下〉
いろいろのことを考え合わせるさま。いずれにしても。どっちみち。
「かれと言ひこれと言ひ―難治の様にて候」〈平家・一〉
[接]二つ以上の事実、状態が併存することを表す。一方で。さらに。
「代々武道の御心がけ深くおわしまし、―、歌道茶事までも」〈鴎外・興津弥五右衛門の遺書
[接尾]
動作性の意をもった名詞に付いて、二つの動作を兼ねて行う意を表す。…のついでに。…がてら。…を兼ねて。「食後の運動―散歩する」「墓参―帰省する」「ご挨拶―お礼まで」
物事を表す名詞に付いて、そのことがあれやこれやとあっての意を表す。
「そんな事―で、私の著訳書は…古風な人の気に入る筈はない」〈福沢福翁自伝
[補説]は多く「旁」と書く。また、1は「旁旁」とも書く。
[類語]人人連中1ついでにちなみになお念のためついで手ついでがてらかたわら道すがら道中道道みちみち途中途上途次中途行き掛け路次道草通りすがり通り掛かり通り掛け行きずり行き掛かり帰りしな帰りぎわ帰り掛け帰るさ寄り道半ば

ほう‐ぼう〔ハウバウ〕【方方】

いろいろな方面。あちこちの場所。副詞的にも用いる。「方方から情報を集める」「方方火の手があがる」「方方旅行する」
[類語]隅隅各地諸所あちこちそこかしこここかしこあちらこちらおちこちそこここところどころ点点諸方各所随所

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精選版 日本国語大辞典 「方方」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ぼうハウバウ【方方】

  1. 〘 名詞 〙 あちこち。かたがた。諸方。
    1. [初出の実例]「方々に使を散して」(出典:今昔物語集(1120頃か)二〇)

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普及版 字通 「方方」の読み・字形・画数・意味

【方方】ほうぼう

諸方。

字通「方」の項目を見る

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