日下(読み)にっか

精選版 日本国語大辞典 「日下」の意味・読み・例文・類語

にっ‐か【日下】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 太陽が照らす下。日の光のもと。天下
    1. [初出の実例]「雲間頌皇沢、日下沐芳塵」(出典:懐風藻(751)春日侍宴〈采女比良夫〉)
    2. [その他の文献]〔南史‐伏挺伝〕
  3. 優れた人のいる所にたとえる。雲間(うんかん)
    1. [初出の実例]「雲間日下之綺麗、儒雅生徒之簡裁」(出典:詩序集(1133頃)葉飛水上紅詩序〈惟宗孝貞〉)
  4. 遠い所。〔王勃‐滕王閣序〕
  5. 文書の奥に記された日付けの下の位置。
    1. [初出の実例]「借瑞渓和尚公文、奉御目。今晨奉之。蓋為覧御判。日下高低也」(出典:蔭凉軒日録‐寛正二年(1461)一二月四日)

くさか【日下・久坂】

  1. 姓氏一つ

日下の補助注記

今の東大阪市生駒山西麓の地名に由来する(→孔舎衛坂(くさえのさか))。「日下」の字を用いるのは、「古事記‐序」に「於姓日下、謂玖沙訶、〈略〉随本不改」とあるように、古くからの慣用であった。


ひ‐の‐した【日下】

  1. ひ(日)の下

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普及版 字通 「日下」の読み・字形・画数・意味

【日下】につか・じつか

日光の下。天下。また、都。〔梁書、文学下、伏挺伝〕長ずるにんで、才思り。好んでを屬(つく)り、五言詩を爲(つく)る。善く謝康樂(霊運)の體に效(なら)ふ。~の友人樂安・任深く相ひ異し、常に曰く、此の子、日下無雙なりと。

字通「日」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日下」の意味・わかりやすい解説

日下
くさか

大阪府中東部、東大阪市の一地区。生駒(いこま)山地西麓(せいろく)の扇状地にあり、孔舎衛(衙)(くさか)、草香とも書く。1925年(大正14)縄文遺跡の日下貝塚(国指定史跡)を発見、淡水産のセタシジミを主とする貝殻人骨石器出土した。奈良と大阪を結ぶ直越(ただご)えの登り口にあたり、東高野(ひがしこうや)街道(国道170号)は南北に走る。日下谷では生駒石の石材を産する。「日下江のハス」は原始ハスとして再生している。また、府民の森「くさか園地」がある。

[安井 司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日下」の意味・わかりやすい解説

日下
くさか

大阪府東大阪市東部,生駒山地西麓の扇状地にある地区。「孔舎衙」とも書く。先史時代から人間が居住したところで,日下貝塚からは淡水産のセタシジミを主とする貝殻や縄文土器,石器,骨角器のほか,弥生土器土師器も出土,史跡に指定されている。近郊農業のほか生駒石の採石や造園業が行われる。

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世界大百科事典(旧版)内の日下の言及

【位署書】より

…これを〈略名式〉といい,四位以下は名を自署する。年月日の下は〈日下(につか)〉といって,その文書の作成者(主典)の署所である。これは公家様文書でも踏襲されている。…

※「日下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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