改訂新版 世界大百科事典 「日本電信電話」の意味・わかりやすい解説
日本電信電話[株] (にほんでんしんでんわ)
日本電信電話公社(電電公社)が日本電信電話株式会社法など,いわゆる電電3法(1984年12月成立)に基づき,1985年4月に民営化して発足した企業で,国内通信事業の最大手。正しくは〈にっぽんでんしんでんわ〉という。略称NTT。日本電信電話(株)の設立と電気通信事業の各分野における競争市場化により,1952年の電電公社の発足以来の国内の電気通信事業の独占体制に終止符が打たれた。民営化の背景には,(1)電気通信事業の独占性と,それに由来する電気通信市場の閉鎖性に対するアメリカからの市場開放圧力が高まってきたこと,(2)臨時行政調査会の基本答申(1982年7月)において,三公社の民営化の方針がうち出されていたこと,(3)高度情報化社会の進展に伴い,電気通信分野への進出を計画している企業,さらにはより安価で多様な回線サービスの供給を求める企業がともに通信回線の開放を強く希望していたこと,などがある。1985年の公社民営化に際しては,5年ごとにNTTの経営形態の見直しを行うことになっていた。この問題は96年末に決着した。NTT本体は99年持株会社となり,その傘下に長距離通信会社NTTコミュニケーションズとNTT東日本,NTT西日本の地域通信2社をおくこととなった。なお,おもな関連会社にNTTドコモ,NTTデータなどがあり,いずれも持株会社の傘下にある。資本金9380億円(2005年9月),売上高10兆8059億円(2005年3月期)。
→電話
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報