円覚寺と建長寺の間を北東に走る明月谷の南裾にある。臨済宗建長寺派、本尊如意輪観音。古くは
永徳三年(一三八三)一二月一一日の関東公方足利氏満書状(県史三)によると、上杉憲方は
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
神奈川県鎌倉市山之内にある臨済(りんざい)宗建長寺派の寺。福源山と号する。本尊は如意輪観音(にょいりんかんのん)。もと北条時頼(ほうじょうときより)の建てた最明(さいみょう)寺の塔頭(たっちゅう)の一つで、上杉憲方(うえすぎのりかた)によって創建され、密室守厳(みっしつしゅごん)(大覚寺派)を開山とするが、寺伝では山内首藤(やまのうちすどう)経俊が、平治(へいじ)の乱(1159)で没した父俊道の菩提(ぼだい)のため創建、上杉憲方が中興したという。1394年(応永1)憲方没後、その法名である明月院天樹道合よりとって院号にあてた。最明寺は北条時宗(ときむね)の代に禅興寺と改め長く栄えたが、足利(あしかが)氏以後は衰微して、やがて逆に明月院に付属する形となり、明治初期にはついに廃絶した。現在は、建長寺の塔頭として栄えたこの明月院だけが残り、木造上杉重房坐像(しげふさざぞう)、紙本着色玉隠和尚(おしょう)像一幅、紙本淡彩明月院古図一幅(以上、国重要文化財)などの什宝(じゅうほう)を伝えている。境内には本堂、北条時頼墓、鎌倉十井の一つ瓶(つるべ)の井、上杉憲方の墓と伝えるやぐらなどがある。なお、当寺は俗にあじさい寺ともよばれ、アジサイの名所としても著名である。境内は国史跡。
[平井俊榮]
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
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