精選版 日本国語大辞典 「春」の意味・読み・例文・類語
はる【春】
しゅん【春】
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四季の一つ。冬と夏の間で、立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の前日までをさす。天文学上は春分から夏至(げし)までが春で、気象学上は陽暦の3、4、5月が春である。なお南半球では半年遅れで9、10、11月が春となる。春を三つに分け初春、仲春、晩春を三春という。
季節としての春の特徴は次のとおりである。
(1)しだいに昼が長く、夜が短くなる時期にあたる。
(2)気温はしだいに上昇していくが、単純に上昇するわけではなく、寒暖には一進一退があり、これが「寒の戻り」の現象として知られている。春にはまた冬の名残(なごり)の西寄りの風が吹く。涅槃西風(ねはんにし)、比良八荒(ひらはっこう)、貝寄せなどとよばれる風であるが、これらはいずれも長続きしない。
(3)緯度が高くなると、春と秋の期間は短くなり、夏と冬の期間がしだいに長くなる。このため、高緯度地方ではさまざまな花の開花が、5、6月に集中する。
(4)日本では冬の季節風降雪はやみ、温帯低気圧の通過によって、ほぼ周期的に雨が降るようになる。そして一雨ごとに暖かくなる。
(5)気温と湿度の上昇に伴われ、春の天気には特有の霞(かすみ)、おぼろ、暈(かさ)、煙霧など、地面付近の視程を妨げるような現象がおこる。
(6)サクラなどの開花前線の北上が注目されるのも春の特徴であるが、夏鳥、冬鳥の渡りもこのころである。
(7)冬の間、大陸で発達した高気圧が、春になると一部が分離し、移動性高気圧となって日本付近を東進する。この移動性高気圧とともに大陸の黄土高原からの黄沙(こうさ)(砂)が飛来し、空を黄色に濁らせることがあり、黄砂が名残の雪とともに降ると赤や黒に色づき、そのような雪は雪解けを早めるので、農家の人々には喜ばれる。移動性高気圧が本邦付近を東進するとき、その中心がやや北に偏る(いわゆる北高型)と天気はあまりよくならず、春陰(しゅんいん)の天気となる。これはまた花曇りともよばれる天気である。
(8)春先は山に残雪がみられる。山肌の模様は、残雪の形と、露出した岩を注目する場合があり、ともに春先の農作業開始の目印としている場合が少なくない。
[根本順吉]
四季のなかでも、春・秋は夏・冬よりも重視され、勅撰(ちょくせん)集のほとんどが春・秋の部立(ぶだて)に夏・冬に倍する巻数をあてている。『源氏物語』の六条院(ろくじょういん)では、春・秋の町が南表に位置し、紫の上と秋好(あきこのむ)中宮がそれぞれ春・秋の季節を代表して優劣を競い合い、花散里(はなちるさと)や明石(あかし)の君の住む夏・冬の町は北裏の背後に押しやられている。早くから春・秋の優劣を論じることが、人々の風雅な話題になっていた。四季の意識はすでに『万葉集』から巻8、巻10の四季の雑歌(ぞうか)・相聞(そうもん)という部立にみられ、歌材としては、早蕨(さわらび)、呼子鳥(よぶこどり)、梅、春山、春菜、菫(すみれ)、山桜、春雪、馬酔木(あしび)、桜、鶯(うぐいす)、山吹、霞(かすみ)、春雨(はるさめ)、陽炎(かげろう)、浅茅(あさぢ)、春野、卯(う)の花、藤(ふじ)、葛(くず)、なのりそ(ホンダワラか)などが詠まれている。季節感としては、「月数(よ)めばいまだ冬なりしかすがに霞たなびく春立ちぬとか」(巻20・大伴家持(おおとものやかもち))などに立春の霞のような類型化の萌芽(ほうが)をみる。『古今集』で「春」に関連する語句を拾うと、春べ、春の日、春の夜、春の心、春の調べ、春の行方、春の野、春霞、春の雪、春雨などがあり、春霞や春雨が用例として多い。『古今集』の春の部立には、立春、春の雪、鶯、解氷、若菜、霞、草木の緑、柳、百(もも)ち鳥(どり)、呼子鳥、帰雁(きがん)、梅、桜、花、藤、山吹、惜春などの歌がほぼ季節の進行にしたがって配列され、四季としての春の意識が類型として固定したことがうかがわれる。春と秋とを比較した場合、伝統的には春よりも秋が重視されていた感があるが、『古今集』に至って春と秋とが均等に扱われるようになった、といってもよい。『枕草子(まくらのそうし)』で脚光を浴びた「春の曙(あけぼの)」が歌語として定着するのは『千載(せんざい)集』や『新古今集』になってからのことで、「又や見む交野(かたの)のみ野の桜狩花の雪散る春の曙」(『新古今』春下・藤原俊成(しゅんぜい))などと詠まれている。『古今六帖(こきんろくじょう)』第一・歳時「春」には、春立日(はるたつひ)、睦月(むつき)、元日、残雪、子日(ねのひ)、若菜、白馬(あおうま)、仲春、弥生(やよい)、3日、暮春の項目が掲げられ、これらの歌題が、のちに季題となって継承されていき、日本人の春に対する季節意識の基盤を形成することとなる。
[小町谷照彦]
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…地球は太陽のまわりを1年かかって公転しているが,地球の自転軸が公転面に対して約23度30分傾いているため,北半球についてみれば,夏至には太陽高度が最も高くて,昼間の時間が最も長く,地表で受け取る太陽エネルギーの量も最大となるのに対し,冬至には反対に,昼間の時間が最も短く,太陽エネルギーも最小になる。春分と秋分には昼夜の時間は等しく,太陽エネルギーの量は夏至と冬至の中間になる(図1,図2)。 昼夜の時間および気温の季節的な差は低緯度地方では小さく,緯度が増加するにつれて大きくなる。…
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