景気循環(読み)けいきじゅんかん(英語表記)business cycle 英語

精選版 日本国語大辞典 「景気循環」の意味・読み・例文・類語

けいき‐じゅんかん ‥ジュンクヮン【景気循環】

〘名〙 資本主義経済もとで、景気上昇好況後退不況回復の各局面をほぼ周期的に繰り返すこと。また、その変動過程景気変動

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デジタル大辞泉 「景気循環」の意味・読み・例文・類語

けいき‐じゅんかん〔‐ジユンクワン〕【景気循環】

資本主義経済で、経済活動拡張する好況と収縮する不況とが交互に発生する、その周期的変動のこと。波動タイプとして代表的なものには、在庫変動に起因する約40か月周期のキチンの波設備投資変化に起因する約10年周期のジュグラーの波、建設需要に起因する約20年周期のクズネッツの波技術革新に起因する約50年周期のコンドラチェフの波がある。景気変動。ビジネスサイクル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環
けいきじゅんかん
business cycle 英語
trade cycle 英語
conjoncture フランス語
Konjunktur ドイツ語

資本主義経済のもとでは、生産や消費などの経済活動が盛んになる好景気と、それらが衰える不景気が交互に発生するが、その変動の過程を景気循環または景気変動という。景気循環はある一定の周期をもって発生し、好況と不況が波状的に繰り返され、その変動は経済のあらゆる部門に影響を与え、さらに国際的にも波及していく。このような景気循環の波が本格的に現れるようになったのは、資本主義経済が確立された19世紀初頭のヨーロッパにおいてであるが、歴史上とくに有名なのは、1929年、アメリカにその端を発した世界的な大不況である。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気循環の諸局面

景気の上昇から下降への転換を景気の「山」(peak)、下降から上昇への転換点を景気の「谷」(trough)とよぶ。景気の変動する過程は、次の4局面に区分される。(1)谷から山へ向かう拡張期または上昇局面、(2)山を越えて下り始める後退局面、(3)下り始めて谷に至る収縮期または下降局面、(4)谷を越えてふたたび上り始める回復局面、である。それらはそれぞれ、「好況」(prosperity)、「景気後退」(recession)、「不況」(depression)、「景気回復」(recovery)と名づけられている。好況→景気後退→不況→景気回復→好況というように、ある局面から次の局面に至るまでのプロセスが、景気の一循環を形成するのである。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気指標

そのときの経済が循環のどの局面に位置するかは、景気動向指数に基づいて判断される。景気動向指数は、過去の経験から景気の動きをもっともよく反映すると思われるいくつかの指標を選抜して、それらを景気局面判断や将来の動向予測に役だたせようとするものである。

 景気指標には、景気の動きに先行する「先行系列」、景気の動きとタイミングが一致する「一致系列」、そして景気の動きに遅れる「遅行系列」がある。先行系列には、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数(除学卒)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数など11個の経済指標が含まれている。同様にして一致系列には、生産指数(鉱工業)、労働投入量指数(調査産業計)、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(小売業)など10個の経済指標が、また、遅行系列には、実質法人企業設備投資(全産業)、家計消費支出(勤労者世帯、名目)、完全失業率(逆サイクル)など9個の経済指標が含まれている。

 それぞれの指標の値を3か月前の値と比較し、数値が増加した指標を数える。その数が、採用している系列数に占める割合を示したものが、ディフュージョン・インデックス(略称、DI)である。たとえば、一致系列に含まれる10個の経済指標のうち6指標が増加、4指標が下落したときの景気動向指数は、60.0%である。全指標のうち何個までに景気の動きが及んできたかを示しており、上昇する指数が半数を超えて指数が下から上へと50%のラインを超えるときが景気の谷、逆に下降する指標が半数を超えて、指数が上から下へ50%のラインを割るときが景気の山にほぼ対応する。DIが景気が上向いているか下降しているかどうかの方向を示す景気動向指数であるのに対して、景気変動の相対的な大きさやテンポを測定する景気動向指数がコンポジット・インデックス(略称、CI)である。CIは、それぞれの景気指標の前月と比べた変化率を合成して求め基準年を100として指数化する。当月の不規則な変化は、移動平均をとることによりその影響が除去される。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気循環の種類

景気循環の種類はさまざまであるが、その周期の長さと様相の違いによって、主循環、小循環、建設循環(建築循環)、長期波動、の四つに分けられる。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

主循環

主循環は8~10年周期の中期の循環で、その存在を初めて発見したフランスの経済学者クレマン・ジュグラーの名にちなんでジュグラーの波Juglar's waves(またはジュグラー循環)ともよばれる。また、その主因が設備投資の変動にあることから、設備投資循環ともよばれる。景気循環というと、通常これをさす。この循環の過程は、次の四つの局面で考えることができる。(1)停滞期を経て、不要な設備が償却され、生産の縮小調整が完了すると、景気は回復過程に入り、企業は生産を拡大するために設備投資を増大し始める。(2)こうして、景気は拡大し、やがてピークを迎えると、設備投資の行き過ぎによる過剰生産が発生するに至り、停滞期に入る。(3)企業は生産を縮小し、過剰設備の償却廃棄が行われる。(4)やがて調整が完了し、ふたたび経済は回復期に入る。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

小循環

ジュグラーの波より短い周期の景気循環を小循環という。ほぼ40か月(3~4年)という周期をもつもので、その発見者であるジョゼフ・キッチンJoseph Kitchin(1861―1932)の名にちなんで、キッチンの波Kitchen's waves(またはキッチン循環)とよばれている。この波動は在庫投資の変動によるので、在庫循環ともよばれる。景気が後退すると、売れ残りの在庫が急激に増加する。企業はこれを処理しようとして、返品、投げ売りによって急激に在庫を減らすため、不況になる。やがて、在庫調整が済むと、ふたたび在庫の積み増しが始まり、注文増加によって生産が増え、不況を脱する。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

建設循環

主循環よりやや長い約20年周期の循環で、アメリカの経済学者サイモン・クズネッツによって発見されたことから、クズネッツの波Kuznets' waves(またはクズネッツ循環)ともよばれる。クズネッツの波は、住宅や貸借ビルなどの建設に関連した循環だと考えられる。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

長期波動

超長期の循環として知られるのはコンドラチェフの波Kondratiev's wavesである。これはソ連の経済学者ニコライ・コンドラチェフが1922年に初めて発表し、1925年に統計的検証を加えて論文としてまとめたものである。このコンドラチェフの波は、世界的に物価・利子率・賃金および生産指数が50~60年の周期で波を打っていることを示している。その第一の波は1780年ごろから1817年ごろまでの上昇と1840年代までの下降、第二の波はそれから1875年ごろまでの上昇と19世紀末までの下降、第三の波は1920年ごろまでの上昇とそれ以降の下降である。この波の原因をめぐっては研究者によっていろいろと意見が分かれているが、これら3個の長波は、いずれも大きな技術革新の時期にあたっているところから、シュンペーターの技術革新説がもっとも説得的であると考えられる。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気循環の理論

景気循環の理論的説明には、これまで多くの所説が提出されてきた。経済活動の波動的な変動は、在庫投資、設備投資および建設投資という3種類の投資の動きとかかわりをもつことから、これらの投資の作用を中心としたマクロ経済モデルによる説明がこれまでの主流であるといえよう。ケインズ・マクロ理論を前提として、投資乗数と加速度原理型の投資関数の相互作用による単純なモデル、このモデルに完全雇用天井と独立投資の床を組み込んだヒックス・モデルなどがある。これらは、投資の増加が乗数を通じて産出量を増加させ、その産出量の変化が企業の将来需要についての予想の変化をもたらし、それが投資水準を変動させるという変動の累積過程から、景気循環が生み出されるとするものである。さらに、投資を産出量の変化率ではなく、産出量水準そのものと資本量の関数としてとらえるカルドアの利潤原理がある。さらに最近では、非ケインズ的な考え方によって景気循環を説明しようとする見解も現れてきた。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

景気調整政策

第二次世界大戦後、1973年のオイル・ショックに至る約30年間、主要な資本主義国では、恐慌、すなわち深刻な不況下に失業・倒産が社会不安を起こす現象は、ほとんど経験しなかった。日本でも、1949年(昭和24)のインフレ収束のための安定恐慌以後は同様である。なぜオイル・ショックまで恐慌が起こらなかったのか、これには次の三つの基礎的原因が考えられる。

 第一は、金本位制にかわって国内に管理通貨制度を採用したことである。それは、国内に不換紙幣を流通させ、国内通貨を政府・中央銀行が強力に管理し、不況期には通貨増発、好況期には通貨収縮と手を打つことができるようになった。第二には、景気安定・完全雇用維持が国家の責務であることにコンセンサスがつくられ、その手段としての財政政策を中核とする各種の経済政策が有効に展開されるようになったことである。第三は金融政策であり、とくに日本では日本銀行の金融機関に対する強力な指導力のもとに、公定歩合操作、預金準備率操作、窓口規制、ポジション指導、オペレーションなどの諸手段が有効に働いた。

 しかし、この基礎的原因には一つのアキレス腱(けん)があった。それは国際決済制度である。金本位制が廃棄されたのちのそれは、金・ドル本位制とでもよぶものとなった。すなわち、第二次世界大戦後、アメリカは大量の金を保有し、それを背景として米ドルだけが公的に金と交換される通貨として残ったので、各国とも国際決済のためにドルを保有しなければならなかった。しかし各国に十分なドルが供給されるためには、アメリカの国際収支がつねに赤字にならなければならないが、一方、その赤字が大きければドルの価値が低下し、それは国際通貨としてのドルの信用を失わせることになる。この、一国の通貨が同時に国際通貨であることの矛盾が表面化したのが、1971年8月のドル・ショック(ニクソン・ショックともいう)である。ドル・ショックによってドルと金の交換は停止され、国際決済制度はドル本位制とよばれるものになった。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

世界同時不況

1973年2月、変動為替(かわせ)相場制がほぼ全面的に採用された。これによって国際収支のアンバランスが自動的に解決されると期待されたためである。しかし、同年末に起こったオイル・ショックは、世界中が使用している石油価格の急騰→世界同時インフレ→インフレ抑制のためのデフレ政策の同時的実施→世界同時不況という、1929年以来の現象を引き起こした。これ以後、1980年代初期に至る世界恐慌に近い景気停滞の様相は、前述の三つの基礎的原因との絡みで、次のように要約できよう。

 第一に、変動為替相場制も国際収支のバランスを自動的に調整しえないことが確認された。この結果、国内の管理通貨制の運用がより困難になった。第二に、インフレが財政政策の過度の施行にあるとみるマネタリズム(貨幣主義)が台頭し、その政策がアメリカとイギリスで採用されるに及んで、主要国においてインフレは収まったものの、失業の増大、不況の持続が世界的に波及した。第三に、マネタリズムの金融政策は、もっぱら貨幣量の長期的コントロールにあり、それはインフレを抑えたものの、とくにアメリカに高金利を発生させ、これが開発途上国の対先進国債務の返済不能という問題を引き起こした。これを回避するためアメリカが貨幣量の引締めを緩めるや、金利は低下し、同時にアメリカの景気回復をもたらした。マネタリズムの緩和が景気を上昇させたのである。アメリカの景気回復が引き金となり、対米輸出増加が世界景気回復をもたらした。

 このようにオイル・ショック以後、世界同時不況・同時回復という景気の同時化(シンクロナイゼーション)が起こっている。と同時に、技術革新=設備投資を行う国、行いえない国という国内的景気変動の側面がふたたび顕著になりつつある。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

戦後日本の景気循環

第二次世界大戦後の日本では、戦後悪性インフレが続き、いちおうの収束をみたのは1949年(昭和24)であった。その直後には朝鮮戦争の特需ブームとその反動の不況があったが、これは戦争という特殊な要因によるもので、景気循環とはいいがたい。それ以後2022年(令和4)までに、15回の波が記録されている(第2循環以後)。

 これらの日本における戦後の景気循環を分析する場合には、第2循環~第5循環(1951~1965)とその後とを分けて考えることが必要である。それは次のような理由による。第一に、第2循環~第5循環は、外貨準備高の壁にぶつかって不況が起こったという共通性をもっている。すなわち、好況による輸入増加と輸出停滞(無理して輸出しなくても国内で売れるから)が国際収支を赤字にし、そのため外貨準備高が国際決済に支障をきたす程度にまで減少すると、金融引締めによって不況が起こる。不況下の輸入減少と輸出増加が国際収支を黒字にして、やがて外貨準備高がある水準まで回復すると、金融緩和が行われて好況に転ずるというパターンである。しかし1965年以降、日本の外貨準備高は豊富になり、外貨の壁は消えた。第二は、日本経済の構造変化である。1964~1965年のいわゆる(昭和)40年不況までの高度成長は設備投資に支えられ、かつ大量生産の利益を享受していた。このため企業は、売上げが急増したので、マーケット・シェアをあまり意識しないで行動していた。しかし40年不況以後、生産設備は大量生産の利益があまり生じない程度にまで拡大するに至り、大企業は合併によるマーケット・シェアの拡大と価格支配力の強化をねらうようになる。経済も、輸出・財政主導型に転換していった。この結果、40年不況までは、不況下では卸売物価が下落していたのに、その後は不況による卸売物価の下落はほとんどなくなり、1973年2月の変動相場制移行以後、卸売物価の下落は、海外要因すなわち海外価格の下落と円安によって起こるようになったのである。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

バブル経済とその崩壊

1985年のプラザ合意以降、急激な円為替レートの上昇が生じた。この円高は当初、第10循環の景気後退をもたらした。しかしながら、1986年以降では円高がむしろ企業収益に対して寄与したことと、資産価格の高騰、いわゆるバブル経済が消費や投資を刺激したことによって、第11循環の好況を生み出した。拡大局面の期間が戦後最長に迫る勢いであったが、1991年(平成3)になるとバブル経済崩壊による資産価格の反落により、不況となった。この不況に関しては、資産価値(ストック)の減少がGNP(国民総生産)などフロー(一定期間中に動く財貨の総量)に影響して起こったとして、循環的要因によるものではなく、構造的な不況であり、これまでとその性質を異にするという見方がある。こうして日本経済は、1991年ごろから2002年(平成14)ごろまで、「失われた十年」とよばれる長期の停滞状態となった。その後、景気は2002年1月を谷として回復し始め、2008年2月を山として景気拡張期間が73か月となり、いざなぎ景気の57か月(第6循環)を超えて戦後最長を記録した(第14循環)。しかしながら、成長の勢いが緩やかで実感に乏しく、しばしば「実感なき景気拡大」または「実感なき景気回復」とよばれている。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

『藤野正三郎著『日本の景気循環』(1965・勁草書房)』『中村文夫編『コンドラチェフ景気波動論』(1978・亜紀書房)』『香西泰編『景気循環』(1984・教育社)』『岩田規久男著『景気ってなんだろう』(2008・筑摩書房)』

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百科事典マイペディア 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環【けいきじゅんかん】

資本主義経済の活動は拡張と収縮を繰り返しながら成長しており,通常,回復・好況(拡張)・後退(収縮)・不況・再び回復,という4つの局面を経る循環的な動きを示す。これが景気循環または景気変動である。景気循環を主導するものは投資の可変的な性格である。投資の変動は所得を変化させ,それが消費水準を変化させて再び所得変化を拡大させる。これには設備投資の動向に基づく主循環(ジュグラーの波)と,在庫変動に起因する小循環(キチンの波)の長短二つの周期があり,さらに幾つかの主循環にまたがる長期のコンドラチエフの波がある。
→関連項目加速度原理カルドア恐慌

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知恵蔵 「景気循環」の解説

景気循環

景気変動」のページをご覧ください。

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世界大百科事典 第2版 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

けいきじゅんかん【景気循環 business cycles】

近代の歴史的経験によると,人々の経済活動が市場を中心として行われるようになるのにともなって,全体としての経済活動は一様な成長を示すのではなく,そこに上昇期と沈滞期とが交互に,しかもある程度安定した周期をもって現れることが明らかとなった。たとえばW.S.ジェボンズは,16世紀初頭から1866年ないし67年にかけて,約10年の周期で恐慌が発生したとしている。このような経済の時間を通じての変動が,景気循環とよばれる現象と関係している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「景気循環」の意味・わかりやすい解説

景気循環
けいきじゅんかん
business cycle

経済的要因に基づいて生じる経済活動の拡張と収縮の過程のこと。歴史的にこの過程がほぼ一定の周期で繰返されてきていることから景気循環と呼ばれている。循環の波形にはその発見者の名にちなんで,コンドラチエフ・サイクルジュグラー・サイクルキチン・サイクルなどがある。

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世界大百科事典内の景気循環の言及

【資本主義】より

…こうして資本主義経済は生産性の上昇を必然にする経済であり,成長を必然にする経済である。それは,現実には,一様な拡大の過程ではなく,好況・不況の繰返しという景気循環の過程をとりながら発展し,高度な生産力水準と生活水準を実現することになった。
[資本主義のマルクス・モデル]
 資本主義の概念は論者によりさまざまな内容をもつが,なかでもなお大きな影響力をもっているのがK.マルクスによる資本主義の概念である。…

【資本蓄積】より

…こうして資本主義社会では,拡大再生産がいわば〈蓄積のための蓄積〉という自己目的となって進行し,それ以前のいかなる社会よりも速い速度で経済成長を実現することができたのである。 しかしこの資本蓄積と拡大再生産はつねに順調に進行しているわけではなく,好況―恐慌―不況を一つの周期とする景気循環をともなって展開される。それゆえ景気循環こそ資本蓄積の現実的な過程ということになり,そのなかで互いに異なる二つの蓄積様式が継起的に交代して繰り返される。…

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