更に(読み)サラニ

デジタル大辞泉 「更に」の意味・読み・例文・類語

さら‐に【更に】

[副]
同じことが重なったり加わったりするさま。重ねて。加えて。その上に。「更に一年月日が過ぎた」「更にこういう問題もある」
今までよりも程度が増すさま。前にも増して。いっそう。ますます。「更にきれいになった」「事態更に悪くなった」
(あとに打消しの語を伴って)いっこうに。まったく。少しも。「更に覚えがない」「反省するようすは更になく」
事新しく。今さら。
「―何事をかは疑ひ侍らむ」〈・若菜上〉
[類語](1さてはまたその上この上おまけにあまつさ加うるにてて加えてのみならずかつかつまたなおかつしかのみならずそればかりかそれどころか同時にそれにひいてそれからそしてそうして次いでして次についてはひいてはそれ故だから従ってよって故にすなわちですから/(2もっとよりなおなおさらますます一層一段と余計いやが上にいよいよも少しもう少しずっと然も未だもうあと今一つもう一ついまいち今少しもそっとぐっとぐんとましていわんや数段段違い層一層しのぐうんとだいぶ余程遥かひとしおうたた尚尚なおなおなお以て更なるひときわいや増すなお且つかてて加えてそれどころそればかりかしかのみならずのみならず加うるにおまけにまた且つまた且つこの上その上しかもさてはさなきだに/(3全然

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精選版 日本国語大辞典 「更に」の意味・読み・例文・類語

さら‐に【更に】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 一つ事実が、もう一度繰り返し成り立ち、あるいは他の類似の事実に加わって成り立つことを表わす。重ねて。加えて。もう一度。
    1. [初出の実例]「淡路に侍り坐(ま)す人を率て来て、左良(サラニ)帝と立てて」(出典:続日本紀‐天平神護元年(765)三月五日・宣命)
  3. 一つの事実が、時間の経過と共にその程度を増すことを表わす。いっそう。ますます。
    1. [初出の実例]「それより以後(のち)は、稍兪(やや)に貧しくなりて、更(さら)に荒き心を起して迫(せ)め来ぬ」(出典:古事記(712)上)
  4. 一つの事実が決定的となった時点で、その事実への拒否、抵抗、疑惑などの感情が、もはや新鮮な意味を失ったことを表わす。今さらのように。事新しく。ことあらためて。いまさら。
    1. [初出の実例]「いでさらに、言へば世の常なり」(出典:枕草子(10C終)一四二)
    2. 「さらになにごとをかは疑ひ侍らむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  5. 一つの事実が、もはや決定的に成立しがたい、という強い否定の気持を表わす。二度と(…しない)。絶対に(…でない)。全く(…ない)。さらにさらに。
    1. [初出の実例]「然らば更(さら)に為むすべ無し。今は吾を殺(し)せよ」(出典:古事記(712)下)
    2. 「このかは、あすかがはにあらねば、ふちせさらにかはらざりけり」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一六日)
  6. あまり好ましくなく名誉でない一つの事実が、決定的に完全に成立することを認める肯定の気持を表わす。いやでも。すっかり(…してしまった)。
    1. [初出の実例]「御返りごと書きてまゐらせんとするに、この歌の本(もと)さらにわすれたり」(出典:枕草子(10C終)一四三)

更にの語誌

→「さらさら(更更)」の語誌

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