精選版 日本国語大辞典 「更級日記」の意味・読み・例文・類語
さらしなにっき【更級日記】
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平安中期の日記文学。1巻。菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)作。1060年(康平3)ごろ成立。作者13歳のおり、父の任地上総(かずさ)国(千葉県中央部)から帰京する旅の記録に筆をおこし、以後40余年に及ぶ半生を自伝的に回想した記録。幼いころ草深い東国ではぐくまれた物語世界への幻想が、成長してのち体験した厳しい現実のなかで挫折(ざせつ)し、老残の境涯のなか、ついに信仰の世界に魂の安住を求めようとするまでの精神遍歴が描き出されている。旅の記録は、分量的にも日記全体の5分の1ほどを占め、さらに竹芝(たけしば)寺の伝承をはじめとする土俗的な話柄が取り収められるなど、叙述のうえでも注目される。帰京後の作者の生活は、『源氏物語』をはじめとする物語世界への耽溺(たんでき)の姿勢が強調される一方で、それを牽制(けんせい)しようとする宗教的な意識との葛藤(かっとう)のなかに描き出されており、そうしたなかで与えられるさまざまな夢の啓示がその精神遍歴の道筋を示している。不如意な現実がたび重なるなかで作者は宮仕えに出るが、期待した幸運は訪れず、結局は平凡な受領(ずりょう)の妻としての生活を得るにとどまった。しかし、一見安穏にみえたその生活は夫の死とともに瓦解(がかい)し、作者は仏の救済にすべてを託す心境に至ったことを記している。そこに作者の回心の過程をみいだせるわけだが、物語世界への幻想も仏の救済への信仰も、ともに仮構された非現実の世界への憧憬(しょうけい)である点で変わりはなく、むしろ最晩年の孤独な境涯のなかに、人生のはかなさをかみしめる作者の諦観(ていかん)が示されている点に注目されるものがある。
なお、本書の伝存する諸本はすべて藤原定家(ていか)書写の御物本に源を発しており、別系統のものは1本も発見されていない。
[多田一臣]
『犬養廉他校注・訳『日本古典文学全集18 更級日記他』(1971・小学館)』▽『関根慶子訳注『更級日記』上下(講談社学術文庫)』▽『秋山虔校注『新潮日本古典集成 更級日記』(1980・新潮社)』
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平安時代の日記文学。菅原孝標(たかすえ)女の作。1059年(康平2)以降成立。中流貴族の家に生まれ,物語に憧れつづけた女の自伝。作者は13歳のとき父の任国上総国から上京した。その旅路の記録と以後約40年間の京都生活を,晩年夫の死後に回想したもの。歌が102首あり,歌集的な部分もある。光源氏のような男性との恋愛の夢も,宮仕えで出世するという願いもかなわず,平凡な結婚生活と経済的な安定を得た人生を後悔しつつ回想する。作者の人生が平凡であるがゆえに時代をこえて読者の共感をよぶ。定家自筆本(御物本)が唯一の証本。「日本古典文学全集」「新日本古典文学大系」所収。
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…草子地は《源氏物語》の表現性を多元的に拡大するための重要な手段なのである。
[本文史,研究史]
作者の執筆過程には不明な点が多いが,確実に分かっているのは,1008年(寛弘5)11月以前に少なくとも若紫巻まではでき上がっていたことと,《更級日記》には,1021年(治安1)に菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)は叔母からその54帖をもらい受けたとあることである。その完成は1010年代の初めころであろう。…
※「更級日記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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