精選版 日本国語大辞典 「書体」の意味・読み・例文・類語
しょ‐たい【書体】
しょ‐てい【書体】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
広義には世界各国で用いられる文字の表現形式をいうが、わが国では一般に漢字および仮名の楷(かい)、行(ぎょう)、草(そう)などの形態をいう。
文字らしいものが現れるのは中国の黄河文明期であり、黄帝の時代に史官蒼頡(そうきつ)が鳥や木の枝などをかたどって文字をつくったのが始まりといわれる。しかし、これらはまだ文字というよりも符号に近いものであった。その後、殷(いん)代に殷文(亀甲(きっこう)や獣骨に鋭い器具で刻んだもので甲骨文ともいう)、周代には周文(鐘や鼎(かなえ)に筆で書いて彫ったもので、鐘鼎(しょうてい)古文ともいう)が現れ、文字らしい体裁ができた。さらに東周代には、石に刻まれた石鼓(せっこ)文が現れるが、宣王の時代に史籀(しちゅう)がつくった『大篆(だいてん)』という字書にこの文字の形式が用いられたため、大篆とも籀文ともいわれる。この大篆を筆写に便利に、点描を方正にしたものが小篆であり、これは秦(しん)の丞相(じょうしょう)李斯(りし)が始めたと伝えている。ついでこの時代に、始皇帝の罪を得た程邈(ていばく)が、獄中で大篆および小篆をさらに簡略化した文字をつくった。これが隷書(れいしょ)(古隷)で、ここに書体はいちおう確立したということができる。
隷書は前漢・後漢(ごかん)を通じて長い間、通用文字になったが、漢代には新しい装飾的な波勢をつけたので、これを後世、漢隷または八分(はっぷん)といって古隷と区別し、今日では普通、隷書といえばこの八分をさす。この八分から史游(しゆう)によって章草という新しい書体がつくられ、これがしだいに進化して、漢代末期には現在用いられているような草書になったのである。
また、後漢の初期には劉徳昇(りゅうとくしょう)によって行書がつくられ、同じく末期には楷書も生まれ、この楷、行、草の三つが今日用いられている基本的な書体となった。これらの書体は奈良時代に日本に伝わったが、この漢字の草書体を簡略化してつくられたのが仮名である。仮名の書体は平安時代に藤原行成(ゆきなり)によってその典型的なものができ、のち種々の改良が加えられて、日本特有の書体が生まれた。また、歌舞伎(かぶき)に用いられる勘亭流をはじめ、寄席(よせ)文字、相撲(すもう)文字、さらに活字に用いられているデザイン化された特殊な書体がみられるが、いずれもいままでの書体に変化を加えたものである。
[小松茂美]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本」パソコンで困ったときに開く本について 情報
…近代になりオフセット(平版)印刷,シルクスクリーン(孔版)印刷,グラビア(凹版)印刷を含めた印刷技術全般とその印刷物を指すようになり,さらにそのうち文字が主体になっているものの印刷表現を主にいうようになった。文字は鉛活字によるものが長い間主流であったが,最近は写真植字によるものが加わり,手書き文字などを含めて多種の書体が登場して,タイポグラフィーの表情を豊富なものにしてきた。タイポグラフィーの主要素である書体,サイズ,配列,用紙,インキ,印刷方式の選択や全体のレイアウトを決定する作業を行う専門家をタイポグラファーtypographerと呼ぶ。…
…ギリシア文字の(シグマ)は語末以外ではσという字体が用いられる。なお,草書,行書,楷書とか,ゴシック,イタリック,とかいうような文字体系の全体にわたる字体のちがいは〈書体〉といわれる。一方,字をその構成要素に分析して,たとえばAは,aと〈大文字化〉,という二つの要素から成るとして,それぞれを〈グラフィームgrapheme(字素)〉と呼ぶ試みもなされ,漢字の声符,義符などの構成要素もそのような扱いをしようとする試みもあるが,分析の客観的規準を見いだすのが困難で,研究の進展がみられない。…
…したがってその起源は文字の発明とともにあり,レタリングの歴史は手書き文字の歴史であるといってもよく,そして用具と用材によって字形が異なることがその特色であった。漢字を例にとれば,隷書体は秦代(前221‐前207)に生まれたが,製紙術発明以前で竹片(竹簡)や木の札(木簡)に硬い筆毛で書いたため,文字の最後の,筆毛がはねる形が波形になり,これが隷書体の特徴になった。楷書体は製紙術が発明されたことに応じて確立され,筆毛もやわらかくなり,線の強弱が表現しやすくなった。…
※「書体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
アデノウイルスの感染により、発熱、のどのはれと痛み、結膜炎の症状を呈する伝染性の病気。感染症予防法の5類感染症の一。学童がプールで感染して集団発生するのでプール熱ともいう。...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新