刑事訴訟において,裁判所が宣告する裁判の一種。〈無罪〉の判決と同様,事件について審理を尽くした後,犯罪の証明の有無について判断を示す点で,手続上の理由に基づき審理を打ち切る裁判--公訴棄却(刑事訴訟法338,339条),免訴(337条),管轄違い(329条)--と区別される。裁判所は,公判で検察官が主張した事実について犯罪の証明があったと判断したとき有罪の判決をする(333条1項)。その証明の程度は〈合理的な疑いを超えるbeyond a reasonable doubt〉高度のものでなければならない。
有罪判決には,刑の言渡しと刑の免除の言渡しとの2種類がある(333条1項,334条)。刑の免除は,有罪であることを示すとともに刑は免除する判決で,これを言い渡す場合については,刑法その他の法律に定めがある(刑法43,80条等)。他方,刑の言渡しの判決においては,裁判所は被告人に言い渡す刑を量定して(〈量刑〉ともいう),これを判決の主文で宣告する。宣告される刑は,事件や被告人をめぐるさまざまな情状を考慮して,法律の定める刑の種類を選択し,法律の定めに従った加重減軽を施して得られた刑の範囲内で量定される。刑の言渡しと同時に刑の執行猶予や保護観察に付する旨の言渡しがなされることもある(刑事訴訟法333条2項)。
有罪の判決には,とくに罪となるべき事実,証拠の標目および法令の適用を示して有罪の理由を明らかにしなければならない。また,法律上犯罪の成立を妨げる理由または刑の加重減免の理由となる事実が主張されていたときは,これに対する判断を示さなければならない(335条)。判決の宣告は,被告人が出頭した公開の法廷で行われ,判決主文および理由の朗読または主文の朗読と理由の要旨の告知がなされる。有罪判決宣告の際には,被告人に対し,上訴できる期間と上訴申立書を差し出すべき裁判所を告知しなければならない。また,裁判長は,判決宣告後,被告人に対し,その将来について適当な訓戒をすることができる。
→無罪 →量刑
執筆者:酒巻 匡
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