朝政(読み)アサマツリゴト

デジタル大辞泉 「朝政」の意味・読み・例文・類語

あさ‐まつりごと【朝政】

天皇が朝早く正殿に出て政務を執ること。
朝廷の政務。

ちょう‐せい〔テウ‐〕【朝政】

朝廷で天子が行う政治

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精選版 日本国語大辞典 「朝政」の意味・読み・例文・類語

あさ‐まつりごと【朝政】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 「ちょうせい(朝政)」の訓読 )
    1. 天皇が朝早くから正殿に出て、政務をとること。また、天皇が行なう政治。朝廷の政務。
      1. [初出の実例]「朝に起きさせ給とても、〈略〉猶、あさまつりごとは、怠らせ給ひぬべかめり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
    2. 朝廷の官人たちが、朝早くから政務にあたること。
      1. [初出の実例]「今は昔、官の司に朝庁(あさまつりごと)と云ふ事行ひけり」(出典今昔物語集(1120頃か)二七)
  3. [ 二 ] ( 朝祭事 ) 朝、男女がまじわりをすること。
    1. [初出の実例]「まい朝早起して、夫婦名だいのもろかせぎ。しかるに起た時分、一朝もかかさずに朝(アサ)まつりごと」(出典:咄本・鹿の子餠(1772)豆腐屋)

ちょう‐せいテウ‥【朝政】

  1. 〘 名詞 〙 天子がみずから行なう政治。朝廷の政治。あさまつりごと。
    1. [初出の実例]「勅従三位大伴宿禰安麻呂、〈略〉小野朝臣毛野、令議朝政」(出典:続日本紀‐大宝二年(702)五月丁亥)
    2. [その他の文献]〔張衡‐東京賦〕

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改訂新版 世界大百科事典 「朝政」の意味・わかりやすい解説

朝政 (ちょうせい)

古代の朝廷における政務の一形態。〈あさのまつり〉ともよむ。毎日早朝に,天皇が大極殿において,大臣以下が列座して評議する政務を聴くもの。承和年間(834-848)に大極殿から紫宸殿に場所が移ったが,毎日天皇は紫宸殿で政事(まつりごと)をみたと伝えられている。しかし仁寿年間(851-854)以降この儀は中絶し,871年(貞観13)に復活されたが,また途絶し,やがて毎月1日,11日,16日,21日の旬政(しゆんせい)に移行し,さらにそれが4月と10月の二孟の旬となって儀礼化した。なお天皇の出席しないとき,大臣が代わって行うのを朝堂政といったが,これもすぐ儀礼化した。朝政の起源は定かでないが,早朝まだ日の昇らない前に,天皇が祭祀を中心とする政事を行ったことに由来するとの説がある。なお朝政を朝廷の政治の意味で用いることもある。
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普及版 字通 「朝政」の読み・字形・画数・意味

【朝政】ちようせい

政治。

字通「朝」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の朝政の言及

【朝政】より

…なお天皇の出席しないとき,大臣が代わって行うのを朝堂政といったが,これもすぐ儀礼化した。朝政の起源は定かでないが,早朝まだ日の昇らない前に,天皇が祭祀を中心とする政事を行ったことに由来するとの説がある。なお朝政を朝廷の政治の意味で用いることもある。…

※「朝政」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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