(読み)オボロ

デジタル大辞泉 「朧」の意味・読み・例文・類語

おぼ‐ろ【×朧】

[名]
タイ・ヒラメ・エビなどの肉をすりつぶして味を付け、いり煮にした食品そぼろ
朧昆布」「朧豆腐」「朧饅頭まんじゅう」などの略。
[形動][文][ナリ]
ぼんやりとかすんでいるさま。はっきりしないさま。「月影」「に見える」 春》辛崎からさきの松は花より―にて/芭蕉
不確かなさま。「記憶
[類語]1見えにくいほのかかすかほんのりうっすらうすうす淡いよう杳杳ようようようとして暗い薄暗いほの暗い小暗い木暗い小暗がり真っ暗暗然冥冥ほの見えるしょぼつくしょぼしょぼ茫茫ぼうぼう不可視ぼんやり陰る曇る霞む掻き曇るぼやける暈ける掠れる朦朧ぼうっとどろん不透明不明不明瞭灰色ぼうぼやっとぼけっとぽっとぼさぼさきょとんぽかんぽかりもやもやおぼろげ不鮮明模糊もこ茫漠ぼうばく茫茫ぼうぼうばく漠然ばくぜん/(2不詳未詳未知未確認迷宮入り

ろう【朧】[漢字項目]

[音]ロウ(漢) [訓]おぼろ
月の光がぼんやりとかすんでいるさま。おぼろ。「朧月朧朧朦朧もうろう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「朧」の意味・読み・例文・類語

おぼ‐ろ【朧】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) ぼうっとして、はっきりしないさま。
    1. (イ) 霞や雲などによって月や山などの景色がぼんやりかすむさま。薄く曇っているさま。→朧気(おぼろげ)。《 季語・春 》
      1. [初出の実例]「外(と)のかたを見出だして臥せるに、月のおぼろなるに、ちひさき(わらは)をさきに立て人立てり」(出典:伊勢物語(10C前)六九)
    2. (ロ) 知覚や記憶が不確かであるさま。
      1. [初出の実例]「九十ばかりに成りては、耳などもおぼろなりけるにや」(出典:無名抄(1211頃))
  3. タイやヒラメなどの白身魚やエビをゆで、身だけすりつぶして味をつけ、いり煮にしたもの。そぼろ。
  4. おぼろどうふ(朧豆腐)」「おぼろこぶ(朧昆布)」などの略。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【霧】より

…霞は気象観測上の用語ではなく,煙や雲がたなびいたり,霧やもやなどのため遠景がぼやけて見えることを一般に霞と呼んでいる。なお,歳時記では霧は秋の季語とされており,春の霧を霞と呼び,夜の霞は朧(おぼろ)と呼んでいる。
[霧粒]
 霧粒は直径数μm~数十μmの大きさで,1cm3の空気中に数個~数百個含まれている。…

※「朧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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