木屎(読み)コクソ

デジタル大辞泉 「木屎」の意味・読み・例文・類語

こ‐くそ【木×屎/刻×苧】

木の粉や繊維くずなどをにまぜたもの。漆塗りの素地きじの合わせ目・損傷部などを埋めるために用い、また乾漆像などの細部肉付けにも用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「木屎」の意味・読み・例文・類語

こ‐くそ【木屎・木糞・粉糞・刻苧】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 漆に木粉や朽木の屑、繊維の屑などを切って混ぜたもの。漆器製造の塗りの工程に入る前、素地の合わせ目、間隙などに填入したり、木節や欠失部を補填するのに用い、素地の表面を整え、塗工程を円滑にするもの。奈良時代には樒(しきみ)の葉と皮を乾かして粉末にした抹香を漆に混ぜて乾漆に用いた。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「行末は夫婦にならふと互の契約、布被せの堅ふ極め、角々迄もこくそかふて、水も洩らさぬ中と契り」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)三)
  3. 和船船底の隙間に詰めるため漆と混ぜて使うもの。檜(ひのき)、槇(まき)などの内皮を砕いて柔らかくしたものを用いる。〔多識編(1631)〕

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