日本大百科全書(ニッポニカ) 「木島始」の意味・わかりやすい解説
木島始
きじまはじめ
(1928―2004)
詩人、小説家、アメリカ文学者。京都生まれ。本名小島昭三(しょうぞう)。1951年、東京大学英文科卒業。東京都立大学附属高校教諭を経て、法政大学教授(1991年退職)。詩誌『列島』に拠(よ)った若い世代の同人。長谷川龍生(はせがわりゅうせい)らと『現代詩』にも加わり、第二次世界大戦後の現実社会を凝視し、方法意識は鋭く、反権力の立場を保った。詩集に『木島始詩集』(1953)、『パゴダの朝』(1977)、『回風歌・脱出』(1981)、『双飛のうた』(1984)、『遊星ひとつ』(1990)、『朝の羽ばたき』(1995)、『流紋(りゅうもん)の汀(みぎわ)で』(1999)など。1990年代以降は、とくに四行詩に積極的で、『われたまご 一二三篇(ぺん)の四行詩集』(1994)、『根の展望 詩集:連作体四行詩十三集』『越境 長い四行詩話:四〇篇に聯弾(れんだん)する』(ともに1999)などを著した。詩画集もユニーク。短編集に『跳ぶもの匍(は)うもの』(1969)、『日本共和国初代大統領への手紙』(1975)など、エッセイ・評論集に『詩 黒人 ジャズ』正続(1965、1972)、『日本語のなかの日本』(1980)、『群鳥の木』(1989)、『ぼくの尺度』(2002)、小説に『ともかく道づれ』(1988)など。童話に『考えろ丹太!』(1960)、『ぼくらのペガサス』(1966)、『三人とんま』(1971)などがある。またL・ヒューズやL・ジョーンズ(アミリ・バラカ)、ナット・ヘントフNat Hentoff(1925―2017)などのアメリカ黒人文学やジャズ関係の翻訳、紹介には定評があった。とくにヒューズについては、彼の自伝から評論集、詩集まで幅広く紹介した。
[高橋世織]
『『考えろ丹太!』(1960・理論社)』▽『『詩・黒人・ジャズ』正続(1965、72・晶文社)』▽『『ぼくらのペガサス』(1966・理論社)』▽『『三人とんま』(1971・太平出版社)』▽『『詩集 私の探照灯』(1971・思潮社)』▽『『現代詩文庫53 木島始詩集』(1972・思潮社)』▽『『パゴダの朝 木島始詩集』(1977・青土社)』▽『『日本語のなかの日本』(1980・晶文社)』▽『『回風歌・脱出 木島始詩集』(1981・土曜美術社)』▽『『詩集 双飛のうた』(1984・青土社)』▽『『ともかく道づれ』(1988・青土社)』▽『『群鳥の木 木島始エッセイ集』(1989・創樹社)』▽『『詩集 遊星ひとつ』(1990・筑摩書房)』▽『『われたまご 一二三篇の四行詩集』(1994・筑摩書房)』▽『『朝の羽ばたき 木島始詩集』(1995・かど書房)』▽『『やたらうた 木島始詩集』(1995・かど書房)』▽『『根の展望 詩集:連作体四行詩十三集』『詩集 流紋の汀で』『越境 長い四行詩話:四〇篇に聯弾する』(1999・土曜美術社出版販売)』▽『『新木島始詩集』(2000・土曜美術社出版販売)』▽『『ぼくの尺度 木島始エッセイ集』(2002・透土社、丸善発売)』▽『ラングストン・ヒューズ著、木島始訳『ジャズの本』(1968・晶文社)』▽『ラングストン・ヒューズ著、木島始訳『ラングストン・ヒューズ詩集』新装版(1969・思潮社)』▽『ラングストン・ヒューズ著、木島始訳『ラングストン・ヒューズ自伝』1~3(1972~1973・河出書房新社)』▽『ラングストン・ヒューズ著、木島始編訳『ラングストン・ヒューズ評論集 黒人芸術家の立場』(1977・創樹社)』▽『リロイ・ジョーンズ著、木島始訳『ブラック・ミュージック』(1969・晶文社)』▽『ナット・ヘントフ著、木島始訳『ナット・ヘントフ自伝』(1989・晶文社)』▽『ナット・ヘントフ著、木島始訳『ジャズ・カントリー』(講談社文庫)』▽『谷川俊太郎著『谷川俊太郎対談集2』(1989・冬芽社)』▽『橋本福夫著『橋本福夫著作集2 黒人文学論』(1989・早川書房)』▽『水内喜久雄著『詩にさそわれて2』(1995・あゆみ出版)』