精選版 日本国語大辞典 「木星」の意味・読み・例文・類語
もく‐せい【木星】
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太陽系で最大の惑星。8惑星のうち、太陽から第5番目の距離にあり、火星の外側を公転している。
木星はヨーロッパではローマ神話の主神ユピテル(英語名ジュピター)の名が与えられており、また中国では歳星(さいせい)とよんだ。
太陽からの平均距離は5.2026天文単位(7億7830万キロメートル)、公転周期11.862年、軌道の離心率は0.0485、黄道面に対する傾斜角は1.304度である。
木星の赤道半径は7万1398キロメートルで地球の11.2倍、体積は地球の1316倍もあり、全惑星中もっとも大きい。しかし質量は地球の317.832倍しかなく、平均密度は1.33にすぎない。それでも木星の質量は他の惑星の質量の合計の2.5倍もあることになる。また太陽に比べれば1000分の1足らずとなる。なお木星の赤道重力は地球の2.37倍もあって、脱出速度も毎秒約60キロメートルにもなる。
木星はこのように太陽系のなかで最大の惑星であり、いわゆる木星型惑星の代表である。会合周期は398.9日で、ほとんど毎年衝(しょう)となって接近するが、その時期は毎年1か月ほどずつ遅れていき、12年で天球上を1周してほぼ元に戻る。
木星は巨大な星なので遠方にあるにもかかわらず衝のころの極大光度はマイナス2.8等に達する。また視直径も47秒ほどで、40倍の倍率の望遠鏡で、ほぼ肉眼で見た満月の大きさに見える。木星は小望遠鏡で見てもすぐにわかるほど南北につぶれた楕円(だえん)形をしており、極半径は赤道半径より4640キロメートルも短い(扁(へん)率0.065)。また表面には何本もの暗い縞(しま)模様が見られ、とくに赤道の南北両側にある2本はもっとも著しく、それぞれ北赤道縞(しま)および南赤道縞とよばれている。これらの縞模様には複雑な濃淡凹凸などの模様が見られ、また絶えず変化していく。これらの目だった斑点(はんてん)の動きを観察すれば木星の自転速度が求められ、赤道帯ではほぼ9時間50分、また赤道縞より高緯度では9時間55分余りと測られているが、場所により、時により変動し、局部的な気流の存在がかなり詳しく観測されている。なお木星が発している電波の観測から9時間55分29.37秒という周期が求められていて、これは表面の雲層でなく、内部の自転速度と考えられている。また有名な大赤斑とよばれる楕円形の赤みを帯びた斑点が17世紀ころから知られており、南半球の温帯地方にあって絶えず濃淡や形状を変えている。これら表面現象のほかに、地上観測によって、かなり古くから大気中にメタンやアンモニアの存在が検出されていた。
木星の正体を格段に明らかにしてくれたのは惑星探査機である。木星を最初に探査したのは1973年末と1974年末に木星に接近したアメリカのパイオニア10号と11号であり、その後1980年のボイジャー1号、1981年のボイジャー2号によってさらに詳しく観測された。
木星は巨大な天体なので原始太陽系星雲の成分をほとんどそのまま取り込んでおり、化学組成は太陽なみと考えられる。パイオニアの実測でも水素82%、ヘリウム17%、その他1%となっている。このような数値を用いて内部構造を計算することができ、木星の大部分は液体水素で、中のほうは金属状液体水素となっていると考えられる。また木星は太陽から受ける熱量の2倍余りの熱を放射していることもわかり、高温の内部からかなりの熱が運ばれてきていることになる。
ボイジャーによる表面の温度測定では、明るい部分が暗い縞の部分よりすこし低温であることがわかり、明るい帯は上昇流、暗い縞は下降流で、より深いところを見ているのだと考えられる。雲はおもにアンモニアの氷とみられるが、縞の部分の赤っぽい色については水硫化アンモニウムとも高分子の有機化合物ともいわれ確定していない。また大赤斑は地球の直径の2倍以上もある巨大な雲の渦であることも確かめられたが、その成因などについてはなお不明な点も多い。
木星が発する電波の観測からも木星に強い磁気圏があることが推定されてきたが、探査機によって初めてその詳細が明らかになった。磁場の強さは木星表面でおよそ4ガウスもあり、地球のほぼ1万倍に相当する。また磁気圏の大きさは最大木星半径の110倍にも及んだが、太陽風との相互作用で激しく変化し、また赤道面に沿って平たく延びているなどの特徴がある。磁気圏の中には強大な放射線帯があり、その規模も粒子のエネルギーも地球の数十倍に達する。この大規模な磁場の成因は木星内部の巨大な金属状液体水素の流体核の存在と急速な自転によるダイナモ作用によって説明されている。
木星には1610年にガリレイが発見したイオ、ユーロパ、ガニメデ、カリストの4大衛星をはじめ現在確認されたものだけでも16個の衛星が知られており、ボイジャーによって観測されたが未確認のものがほかに数個ある。ガリレイが発見した4大衛星は格段に大きく、ほとんど木星の赤道面を円に近い軌道で公転しているが、ほかははるかに小型で軌道傾斜も離心率もかなり大きく、4個は公転が逆行である。4大衛星の密度はイオ3.5、ユーロパ3.0、ガニメデ1.9、カリスト1.8と木星から遠いものほど小さくなっており、イオやユーロパは地球の月に似た大きさでほとんど岩石質の組成なのに対して、ガニメデやカリストはほぼ半分は氷とみられ、いずれも厚い氷のマントルをもっていると考えられる。なかでもガニメデは直径5280キロメートルもあって、太陽系中最大の衛星で、大惑星の水星よりも大きいが、質量はその半分にも及ばない。他の小衛星もほとんどみな密度が小さく、大部分が氷であるとみられている。
ボイジャー1号によってイオの表面に多くの活火山があることがみいだされたが、その原因は木星の強大な起潮力によってイオが変形を繰り返すためと説明されている。以前からイオの軌道に沿ってナトリウムやイオウの雲の存在が知られていたが、この起源も活火山の存在によって解決した。またこれらと木星磁場との相互作用によって木星からの電波がイオの運動に連動して変動することも説明された。表面を氷に覆われたユーロパ、ガニメデ、カリストなどの表面にもクレーターをはじめいろいろな地形がみいだされ、それぞれ過去の歴史を物語っていると思われる。
なお、ボイジャー1号は木星の表面から5万7000キロメートルのところに細い環(わ)があることを発見した。
[村山定男]
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(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)
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…一方,こうした雲の動きとは別に一連の人工衛星による風の観測が行われ,金星の上層大気は100m/s前後の速度で運動していることがわかった。
[木星]
木星の雲はいろいろの層をなして大気中に浮かび,また規則正しく帯,縞模様を織りなして特徴ある木星の素顔をつくっている。雲の動きから,帯の赤道側は遅く回転し,極側はより速く回転しており,縞部分はその逆となっていることが解明された。…
…なおカニの〈みそ〉はこの中腸腺である。【玉手 英夫】
[肝臓の文化史]
プトレマイオスによれば金星が肝臓を支配する(《四書(テトラビブロス)》3巻)のだが,その後の占星術的医学では木星がおもな支配遊星であるとする(H.L.コーネル《医学的占星術百科》)。パラケルススは《ヘルメス文書》の〈ポイマンドレス〉の影響を受けて,人体の七つの器官はそれぞれ七つの遊星から生命を得てみずからを維持しており,不変な王者の座にある木星は肝臓の遊星でこれを意味づけているとした。…
…木星の古代中国名。五星の一つ。…
…地球や木星など太陽系の惑星を囲んでいる気体を大気あるいは惑星大気という。その中で,地球の重力によって地球とともに回転している気体を地球大気といい,一般には大気といえば地球大気を指す。…
…占星術が起こり,日食や惑星の運動に注目するようになった。惑星の中,とくに木星(〈歳星〉という)の位置によって国家の安危を占うことが行われ,そのために〈二十八宿〉や〈十二次〉によって天空を分割することが行われた。戦国時代になると石申や甘徳などの天文学者が出て盛んに天体観測を行ったが,前4世紀の半ばごろには1年を3651/4日とする〈四分暦〉が考案され,19年や76年の周期を利用して整然とした太陰太陽暦がつくられた。…
…惑星運動に注意するのもこれからまもなくの時代であろう。惑星の中でもっとも光の強い木星は12年で天を1周することが知られ,したがって木星の位置によって〈歳〉をしるすという意味でこれが〈歳星〉とも呼ばれた。木星の位置によって国家や支配者の運命を占うことが行われているのは,西方の占星術の発生とまったく相似ている。…
…二十八宿の起首が角宿から始まるのは,角宿が北斗七星の斗柄が指す方向に当たっていて,斗柄の方向によって1年の季節を定めた時法との結びつきのなごりとされている。前4世紀の初めから周天を12の等間隔に分ける十二次が用いられ,そこを木星が1年に1次ずつ12年間でめぐっていく位置によって年を記す歳星紀年法が成立した。歳星紀年法は太歳紀年法や太陰紀年法(木星の鏡像の位置によって年を表す方法)に発達したが,十二次の方法は中国天文学では二十八宿の体系に代わることはなかった。…
…遊星とも呼ばれる。内側から水星,金星,地球,火星,木星,土星,天王星,海王星,冥王星の9個があり,その多くは衛星をもつ。また火星と木星の間には数多くの小惑星があり,惑星に集積し切れなかったなごりの物体群と考えられている。…
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