ぼく【木】
〘名〙
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈
長与善郎〉竹沢先生の散歩「木
(ボク)の数はわづかに四五本であらう」
②
年月を経て、ふしくれ立ち、また、曲りくねった古い木の根や幹。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
④ 棺材をいう。転じて、ひつぎ。棺。〔礼記‐檀弓下〕
⑤ 中国古代の楽器分類法、八音
(はちいん)の
一つ。柷
(しゅく)・敔
(ぎょ)などという木製の楽器。〔周礼‐春官・
大師〕
⑥ (形動)(「樸」「朴」とも書く) 素朴で気のきかない人。また、そのさま。多くは、話の通じない人をののしりあざけっていう語。わからずや。まぬけ。唐変木。ぼくねんじん。
※
滑稽本・早変胸機関(1810)「ボクな
野郎だとつもられるもお恥か
しいからネ」
もく【木】
〘名〙
① き。樹木。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)七「
衆人、あるいは、杖・木
(モク)・瓦・石をもて、これを打擲すれども」
② (多く「杢」と書く)
木目(もくめ)。特に、
年輪・繊維の
配列や
着色の不規則から特殊な
紋様を示す木目。根や瘤
(こぶ)の部分に多く現われ、工芸的に賞用される。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※史記抄(1477)七「木生火ぢゃと云て木と火とを一処に置て御覧ぜよ」
④ 陰陽家のいう
七曜あるいは九曜の一つ。また、現在の暦で一週間のうち五番目「
木曜」の略。
※森鴎外日記‐明治三一年(1898)「一月六日(木)朝微雪あり」
け【木】
〘名〙 木(き)。
※万葉(8C後)二〇・四三七五「松の気(ケ)の並(な)みたる見れば家人(いはびと)の我を見送ると立たりしもころ」
[補注](1)「書紀‐景行一二年九月」の「これ御木〈木、此をば開(ケ)と云ふ〉の川上にあり」、「書紀‐景行一八年七月(北野本訓)」の「筑紫の後国(のちくに)の御木(ミケ)に到りまします」は、地名の一部に用いられている。また、「万葉‐四三四二」には、「麻気婆之良(マケバシラ)(=真木柱)」の形が見える。
(2)「万葉集」の例はともに東国防人の歌であるから、古く「木」を「け」ともいっていたのが、中央では使われなくなり、方言として残ったものかと考えられる。
こ【木】
〘名〙 き(木)。多く複合して用いられる。「このしたがくり」「このは」「このま」「このみ」「こがくれ」「こだかし」「こづたい」「こぬれ」など。
[補注]き(木)の交替形で、イ列乙類の音がオ列に転ずる例の一つ。
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デジタル大辞泉
「木」の意味・読み・例文・類語
もく【木】
1 き。樹木。〈和英語林集成〉
2 木目。「木がいい」
3 木曜日。「木・金・土」
4 五行の第一位。方位では東、季節では春、五星では木星、十干では甲・乙に配する。
ぼく【木】
[名・形動]
1 立ち木。樹木。
2 年月を経て、ふしくれだった樹木の根や幹。築山などに用いる。「みごとな木」
3 材木。転じて、木を材料にしたもの。木製。「木の煙草盆」
4 気のきかないこと。また、そのさまや、そのような人。
「―な野郎だとつもられるもお恥づかしいからね」〈滑・早変胸機関〉
け【▽木】
木。
「松の―の並みたる見れば家人の我を見送ると立たりしもころ」〈万・四三七五〉
こ【木】
《「き(木)」の音変化》樹木。多く複合語の形で用いられる。「木陰」「木漏れ日」「木の葉」
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木
ならのき
[現在地名]山古志村南平 楢木
池谷の南、芋川沿いの集落。口碑では土底浜(現中頸城郡大潟町)の浪人が池谷にとどまり、当地を開発したといい、当地の畔上家の本家が草分という。山六ヶ村のうちで、慶安三年(一六五〇)の高反別附立覚帳(斎藤正助氏蔵)では池谷と一村。万治二年(一六五九)の廿六村家数改帳(平沢家文書)では「ならの木村」とあり、本百姓・名子各二軒。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
き【木 tree】
維管束植物のうち,多年生で,茎頂の活動(伸長生長)が無限に続き,茎に形成層をもっていて二次(肥大)生長を行うもの。樹,樹木ともいい,植物学では木本植物という。草(草本植物)に対応する語。大きさによって高木(喬木(きようぼく))と低木(灌木)に区別することもある。高いものではオーストラリアのユーカリの1種のように130mに達するものがあり,小さいものでは草本と同じような生育形のコケモモやヤブコウジのような例がある。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
木
五行の一つ。木を象徴とし、陽の木「甲木」と陰の木「乙木」がある。植物だけではなく、活き活きと動くものすべてを指す。季節では春、方角では東をあらわす。
出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典内の木の言及
【絶縁破壊】より
…固体中の破壊も電子的な破壊と熱破壊に分類される。プラスチックで絶縁した場合には,微小な異物や電極上の突起からトリーtreeと呼ばれる樹枝状の放電路が発生し,長時間の間にゆっくりと進展してやがて破壊に至る。水分の多い場所に敷設したケーブルでは電界の作用で水分がプラスチック内に浸入する。…
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