末(読み)スエ

デジタル大辞泉 「末」の意味・読み・例文・類語

すえ〔すゑ〕【末】

1 (本もとに対して)続いているものの先端の方。末端。「毛の末」
2 川下かわしも。下流。
「山中の渓流の―である河は」〈大岡・野火〉
3 中央から離れた端の所。場末・野ずえ・末席など。「末の座」
4 本筋から隔たった物事。つまらないこと。「そんな細かいことは末の末だ」
5 物事の行われたのち。あげく。「ごたごたの末落ち着く」「苦心の末完成した」
6 ある期間の終わりのほう。「今月の末」
7 一生の最後の時期。晩年。「人一代の末」
8 今からのち。行く末。将来。「末が思いやられる」
9 子孫。「源氏の末」
10 一番あとに生まれた子。末っ子。「末は女です」
11 仏教がおとろえ人心がすさみ、道徳も秩序も乱れ衰えた時代。末世まっせ。「世も末となる」
12 短歌の下しもの句。
13 (本もとに対して)後編。
14 神楽歌を奏するのに、神座に向かって右方の座席。また、そこにすわる奏者。
15 草木の伸びている先。こずえ、枝先など。
「うぐひすの…紅梅の―にうち鳴きたるを」〈源・若菜上〉
16 山頂。山のいただき。
「高山、短山ひきやまの―より」〈祝詞・六月晦大祓〉
17 江戸時代、将軍・大名などに仕えた女中。おすえ。
18 身分の低いもの。下等。下級。
「―の傾城四人まゐりて」〈浮・一代男・八〉
[下接語]来こし方行く末・末の末・場末・本もと末・行く末(ずえ)末末・月末・野末・葉末・穂末
[類語](1)先・先端・突端・頭あたま・末端・先っぽ・端・ヘッド・端はな・端っこ・突先とっさき・突端とっぱな・一端いったん/(6)終わり・しまい・最後・最終・ラスト・末尾・どん詰まり・結果/(8)将来・今後・未来・近未来・行く末・末末・前途・向後・自今・来たる・目先・行く先・行く手・行く行く・行方・先行き・先先・先・生い先・あと・のち・あとあと・のちのち・後年・他年・この後・これから・向こう

まつ【末】[漢字項目]

[音]マツ(呉) バツ(漢) [訓]すえ うら うれ
[学習漢字]4年
〈マツ〉
1 物の端の方。物事の終わりの方。最後。果て。すえ。「末裔まつえい・末期まっき・末期まつご・末日・末梢まっしょう・末端・末尾・末葉/巻末・期末・結末・月末・毫末ごうまつ・歳末・始末・終末・週末・端末・顛末てんまつ・年末・幕末・文末・本末」
2 中心的でないこと。主要でない。とるにたりない。「末学・末席・末節・末輩/瑣末さまつ・粗末」
3 小さく細かいもの。「粉末」
〈バツ〉
1 すえ。終わり。「末子・末孫・末弟」
2 主要でない。下位。「末席」
[補説]の語例の「末」は「マツ」とも読む。
〈すえ(ずえ)〉「末広/月末・野末・葉末・場末」
[名のり]とめ・とも・ひで・ひろし・ほず・ま
[難読]末枯うらがれ・末生うらなり・木末こぬれ

うら【▽末】

1 植物の葉や枝の先。こずえ。うれ。
「小里なる花橘はなたちばなを引き攀よぢて折らむとすれど―若みこそ」〈万・三五七四〉
2 すえ。端。「末弭はず」
[補説]古くは「うれ」が単独で用いられたのに対し、「うら」は「うら葉」のような複合形に用いられることが多い。

まつ【末】

1 終わり。すえ。「三月の末」「世紀末」
2 粉こな。粉末。
「薬ヲ―ニスル」〈和英語林集成〉

うれ【▽末】

草の葉や茎、木の枝の先端。こずえ。うら。
「うちなびく春立ちぬらし我が門かどの柳の―にうぐひす鳴きつ」〈万・一八一九〉

ばつ【末】[漢字項目]

⇒まつ

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精選版 日本国語大辞典 「末」の意味・読み・例文・類語

すえすゑ【末】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 草木の上方の末端。また、こずえや枝先など。
    1. [初出の実例]「奇(めつら)しき鳥(とり)来て杜(かつら)の杪(スヱ)に居り」(出典:日本書紀(720)神代下(兼方本訓))
    2. 「うぐひすの、若やかに、ちかき紅梅のすゑにうち鳴きたるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  3. ② 物の先端。末端。
    1. [初出の実例]「御峰(みを)の竹を 掻き刈り 末(すゑ)押し縻(な)ぶる如(な)す」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    2. 「毛のすゑには金の光し、ささやきたり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. ③ 山のいただき。山頂。また、山の奥。
    1. [初出の実例]「宮の材(き)爛(たた)れ、山の椒(スヱ)埋(うつも)れたり」(出典:日本書紀(720)斉明二年(北野本訓))
  5. ④ 道や野のはて。はずれ。
    1. [初出の実例]「むさしのやゆけども秋のはてぞなきいかなる風か末に吹くらん〈源通光〉」(出典:新古今和歌集(1205)秋上・三七八)
  6. ⑤ 子孫。あなすえ。
    1. [初出の実例]「もののたがひ目ありて、そのむくいにかくすゑは無きなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 「伊弉諾(いざなぎ)の裔(スヱ)、人の子ら、ながき嘆(なげき)のなからめや」(出典:二十五絃(1905)〈薄田泣菫〉矢馳使の歌・あまくだり)
  7. ⑥ 将来。未来。ゆくすえ。のち。
    1. [初出の実例]「大太刀を たれはき立ちて 抜かずとも 須衛(スヱ)はたしても 会はむとぞ思ふ」(出典:日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)
  8. ⑦ ある期間の終わり。おわり。末期。
    1. [初出の実例]「七日の頭(スヱ)に到りて、肉団(ししむら)開敷(ひら)きて百の童子有り〈真福寺本訓釈 頭 数恵爾〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
  9. ⑧ 生涯の終わりの時期。晩年。
    1. [初出の実例]「残りとまれる齢(よはひ)のすゑにもあかず悲しと思ふこと多く」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  10. ⑨ 道義や政治、風俗、財産などの衰えた世。末の世。
    1. [初出の実例]「彌陀の教へをたのまずは、末の法、よろづ年々ふるまでに余経の法はよもあらじ」(出典:光悦本謡曲・当麻(1435頃))
  11. ⑩ 月末。下旬。
    1. [初出の実例]「時に建久四年、五月のすゑのいつの夜の、天はくらしと申せども」(出典:幸若・夜討曾我(室町末‐近世初))
  12. ⑪ 時間がかなりたったあと。
    1. [初出の実例]「むげのすゑに参り給へりし入道の宮に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  13. ⑫ 物事の行なわれたあと。結果。また、なごり。
    1. [初出の実例]「さらばかうにこそはと打ち解け行くすゑにありありて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  14. ⑬ 人の行ったその方向。これから行く方向。
    1. [初出の実例]「飛ぶが如くに迯(にげ)けるを、人末に多く走合て捕(とらへて)打伏せて縛て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二三)
  15. ⑭ 複数の子のうち、いちばん年少の子。末子。
    1. [初出の実例]「かく心ことなる御腹にて、すゑに出ておはしたる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
  16. ⑮ 幼少。
    1. [初出の実例]「すゑの君だち思ふさまにかしづき出だして見むとおぼしめすにぞ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
  17. ⑯ 末座。末席。下座。
    1. [初出の実例]「みこたちの御座のすゑに源氏つき給へり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  18. ⑰ 短歌の下の句。
    1. [初出の実例]「かち人の渡れど濡れぬえにしあれば、と書きて、すゑはなし」(出典:伊勢物語(10C前)六九)
  19. ⑱ 文や単語の終わり。文末や語尾。
    1. [初出の実例]「『色変はる袖をば露の宿りにてわが身ぞさらにおき所なき、はつるる糸は』とすゑは言ひ消ちて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
  20. ⑲ 後編。
    1. [初出の実例]「巻上 末」(出典:明衡往来(11C中か))
  21. ⑳ もと。起点。
    1. [初出の実例]「明暁寅刻虧初、辰刻復レ末」(出典:玉葉‐寿永元年(1182)一一月一五日)
  22. ㉑ 宮中、将軍、大名などにつかえた女中。おすえ。
    1. [初出の実例]「得選女官六人夜参。召レ末給レ酒」(出典:看聞御記‐永享七年(1435)一二月二六日)
  23. ㉒ 下等。下級。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「末(スヘ)の傾城四人まいりて」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)八)
  24. ㉓ 主要でないこと。
  25. ㉔ 下流。川下。しも。
    1. [初出の実例]「石清水流れのすゑぞたのまるる心もゆかぬ水屑とおもへば」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
  26. ㉕ 神楽歌を奏するのに神座に向かって右方の座席。また、そこにすわる奏者。末方。末方の主唱者である末拍子(すえびょうし)にもいう。また、その受持ちの歌の部分。
    1. [初出の実例]「〈本〉榊葉の 香をかぐはしみ〈略〉〈末〉神籬の 御室の山の 榊葉は 神の御前に 茂りあひにけり」(出典:神楽歌(9C後)採物)
  27. ㉖ 七、または八をいう、呉服屋仲間の符丁。

まつ【末】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① こな。粉末。
      1. [初出の実例]「僧、松栢の脂の末を以て法義に令食しむ」(出典:今昔物語集(1120頃か)七)
    2. ② 中国の旧劇の役割の一つで、端役のこと。
      1. [初出の実例]「開場事を始るを、命(なづく)るに末(マツ)(〈注〉スヱ)ここにいふ立役すぢし也。序びらきに狂言のすぢをいふ をもてし」(出典:読本・曲亭伝奇花釵児(1804)序)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 月や年など、ある期間の終わりにあたる時期。
    1. [初出の実例]「毎年末(マツ)予算案の編成をまって」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉十二月暦)

うら【末】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 枝先。こずえ。うれ。
    1. [初出の実例]「小里(をさと)なる花橘を引きよぢて折らむとすれど宇良(ウラ)若みこそ」(出典:万葉集(8C後)一四・三五七四)
  3. ② 先端。すえ。
    1. [初出の実例]「箸の本末と云事個とは、ほそきはうら、ふときは本なり」(出典:京極大草紙(室町後)躾式法之事)

うれ【末】

  1. 〘 名詞 〙 草の茎や葉、木の枝などの先端。はずえ。こずえ。すえ。うら。
    1. [初出の実例]「後見むと君が結べる磐代(いはしろ)の小松が宇礼(ウレ)をまた見けむかも」(出典:万葉集(8C後)二・一四六)

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普及版 字通 「末」の読み・字形・画数・意味

末
常用漢字 5画

[字音] マツ・バツ
[字訓] すえ・しも・よわい・ない

[説文解字]
[金文]

[字形] 指事
木の枝の末端。その部分に肥点を加えて、その部位を示す。位置的な表示の方法で、掌(てのひら)の上下を上下とするのと同じ。〔説文〕六上に「木上を末と曰ふ。木に從ひ、一其の上に在り」とするが、一はもと部位を示す肥点であった。末端であるから、弱小・終末の意がある。無・などと音が通じ、否定詞に用いる。

[訓義]
1. すえ、こずえ、さき。
2. こな、しも、おわり、えだは。
3. よわい、かすか、小さい。
4. くず。
5. 演劇の立役者、シテ。
6. 無・などの音と通じ、ない、なかれ、あらず。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕末 スヱ・ノチ・ナシ・ハシ・ヲハル・ヲハリ・エダ/末世 スヱノヨ 〔字鏡集〕末 ナシ・スヱ・キノエヘ(ダ)・トホシ・ハシ・エダ・ノチ・ヨハシ・ハテ・ツクス・ヲハリ

[声系]
〔説文〕に末声として・沫など四字を収める。は目明らかならず、沫は水沫、ともに末の声義を承ける字である。

[語系]
末muatは蔑miatと声近く、ともに否定詞に用いる。無・毋miua、mak、靡miai、(亡)・罔miuangも声近く、いずれも否定詞に用いる。〔論語、子罕〕「由末(な)きのみ」のように、〔論語〕に「末(な)し」を用いる例が多い。

[熟語]
末姻▶・末裔▶・末▶・末科▶・末学▶・末官▶・末季▶・末技▶・末境▶・末業▶・末契▶・末芸▶・末限▶・末減▶・末行▶・末坐▶・末歳▶・末作▶・末産▶・末師▶・末事▶・末疾▶・末緒▶・末梢▶・末世▶・末勢▶・末席▶・末戚▶・末節▶・末造▶・末俗▶・末属▶・末代▶・末端▶・末秩▶・末茶▶・末朝▶・末庭▶・末泥▶・末塗▶・末弩▶・末年▶・末派▶・末輩▶・末班▶・末品▶・末風▶・末編▶・末暮▶・末法▶・末民▶・末命▶・末薬▶・末葉▶・末利▶・末流▶・末僚▶・末路▶
[下接語]
裔末・末・巻末・季末・期末・澆末・結末・月末・毫末・些末・瑣末・座末・細末・歳末・始末・終末・週末・錐末・趨末・席末・浅末・粗末・疎末・旦末・端末・天末・末・年末・農末・卑末・末・眇末・粉末・末・豊末・本末・流末・僚末

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「末」の意味・わかりやすい解説

末
まつ
mo

中国演劇の役柄の一つ。元雑劇では主役として重要な役柄であったが,家従,馬夫など端役に変り,老生に組入れられ,次第にすたれつつある。老生は中年と老年を演じ黒いひげをつけるが,白いひげをつけた老年を末という。現在,末を除く4つが中国演劇の主要な役柄となった。 (→京劇 )

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